ボンディングの工程は、前述したように金属ホーンの先端にネジ止めにて取り付けられているツールあるいはキャピラリと呼ばれる接続用圧着子とワイヤを挟んでパッドやリードフレームとの間で行われます。よって、ボンダビリティを検証するための測定ポイントとしては、作用点そのものであるツール先端あるいはパッドやリードフレームを直接測定できれば有効であることは容易に想像できます。 しかしながら、ツールやパッドあるいはリードフレームの測定を行うことは従来非常な困難を伴い、端的にいえば適用可能なセンサーが無かったというのが実情でした。 例えばボールボンダで使用されるツールは、キャピラリと呼ばれる先端がテーパ状で細かい 直径約 1.5 mm、長さ約 11 mm 中空の針であり、概して硬質セラミックまたはルビーで製作さ れています。このため、サイズ的な制約から接触式の振動センサー等を取り付けることは不可能です。 また、非接触センサーの代表ともいえる三角測量方式のレーザー変位計では、60 kHz 以上という高い周波数まで測定できるものは希れであり、三角測量の原理上センサーとターゲット間の測定距離と分解能がトレードオフの関係となるため測定不能となります。このため、現在レー ザドップラ方式による振動計の適用が主流となっており、良好な結果が得られています。 以下にレーザードップラ方式による測定の長所・短所について述べてみます。
| 長所 |
分解能が測定距離に依存しないため高分解能で数値化がしやすく、ボンディング作用点の近傍での測定となるため測定データの変化率も大きいため差異が出やすい。とくに振動子や金属ホーンに問題があった場合のトラブルでは、初期データがあれば比較的簡単に判別 可能となる。 |
| 短所 |
製造する IC の種類や使用するボンダおよびワイヤによって特性が異なるため、業界標準となるような基準を作成することはできず、個別対応となる。 このため基準作成のための時間を要し、即効性はあまりない。 また、常時監視を行うことは不可能であり、測定に多少の慣れを必要とする。 |
レーザードップラー振動計による測定でも問題点は存在することから、ボンダビリティの検査方法として「万能」とはいえませんが、他の測定方法を使用した場合、概して「原因 不明」あるいは「効果なし」という議論の余地の無い状況下では、「現在適用しうる最善の測定方法」となります。
例えば、ツールは消耗品として交換する必要がありますが、通常、ツールの交換は手作業で行われています。ホーンに対するツールの取付位置や固定ネジの締め付けトルク次 第では、ボンディングの状態が変化することがありますので、メンテナンスで評価する際などにおいてもツール先端の振動振幅の定量化は重要です。
さらに、押さえ板等搬送機構上での固定にゆるみがあったりすると、ボンディング中に リードフレームが動くことにより不具合の原因となることがあります。これらの測定にはレーザードップラー振動計をセンサーとした測定システムが最適となります。