おとうさん、前にドップラー効果の話をしてくれたとき、絶対音感を持っている人は、音を出しながら移動するものがあると、速度がわかるってこと説明してくれたでしょ。今日、音楽の時間に、先生が絶対音感の話をしてくれたんだ。第2次世界大戦中に、敵・味方の飛行機を聴き分けるために、当時の学校では、絶対音感を持つことを教育されたことがあったんだって。ほんとにそんなことしたのかな?
うん、その話はお父さんも聞いたことがあるなぁ。絶対音感を持っている人は、前に話したサイレンの音みたいに特定の周波数の音だけではなくて、機械から出る騒音にも、音名が言える能力があるんだ。そのことを『ラベリング』というんだけど、敵の飛行機の機種を聴き分けるという意図で、そんな教育が行われたんだろうね。その効果は怪しいけどね。
幼い頃から、専門的な音感教育を受けることで、後天的にも成長する能力ということらしいよ。音楽専攻の学生のなかで、絶対音感を持っている人の比率は、一般の人と比べると遥かに高いということだから。ただ、そういう能力のある人が集まっているともいえるけどね。
それにしても、どんな音でも、その音階がわかるって楽しいだろうね。
確かに、音楽を専門とする人にとっては、有利な能力であることは間違いないね。ただ、こんな話もあるんだよ。演奏に集中すればするほど、ホールの雑音が音符として浮かび上がるという演奏家もいるし、音楽を聴きながら本は読めないとか、クラシックを聴いていても、それはすべてドレミの言葉として聴こえてしまうとか、絶対音感を持っているために、それが不利に働くことがあるんだよ。