さて、計測あるいは測定とはどんな事でしょう。
難しくいえば物理的な諸現象を数値化して評価する事だそうです。今日は、'寒いですね'では計測にはなりません。「15度だから寒い」のように数字に直して、初めて計測した事になるのです。
しかし、計測器は、いとも簡単に数字で示されますが、それが本当に欲しいデータを表しているかどうかの判断は、難しいことです。温度計図まずポピュラーな温度計測で考えてみましょう。同じ室内でも温度は、測定場所で変わってきます。それでは、平静な実験室内すら、どれを室温として良いか分からない事となります。
それに加えて、その中で、エンジン実験をしようとすると、エンジンは発熱し、一方大量の空気を消費するので、外から違った温度の空気が乱入してきます。それではエンジン性能を左右するし、吸気温度は、ランダムに変わって、温度の測定が出来なくなり、結局はエンジン解析不能といえる事態になります。
三菱重工から長崎大学に行かれた泉修平教授が、大学に熱流体研究室を創設されたとき、冷却水、燃料油、吸気温度など、いずれも 0.5 ℃以下、給気圧は水柱 5 mm以下の精度で制御される、巨大な実験室を設置されました。私は始め、何故こんな装置が必要なのかと思っていましたが、正確に、燃焼やエンジン性能の実態を把握しようとすれば、初期条件を徹底的に整える 、巨大な空気室や、燃料油槽、冷却水槽から供給する必要があるのです。また、その際当社にも、デジタルトルクメータを中心にした、エンジン、ダイナモ実験装置と、アコースティックインテンシティメーター、音響解析装置を注文していただきました。
泉先生は、それら温度を、強制的にコントロールする事で、燃焼解析の原点とも言える、指圧線図を正確に描く事の出来る燃焼解析装置を開発し、燃焼の実態把握に貢献し、また、振動騒音を8点同時オンラインで計測解析し、燃料の質、吸気温度、冷却水温度の変化を、世界に先じて無響室を使わないで、解析できるようにしました。