この間の修学旅行で日光東照宮に行ってきたんだ。薬師堂にある鳴き竜の下で、お寺の人が拍子木を使って音を出してくれて、竜の声聴くことができたよ。
それは良かったね。なぜ竜が鳴くか説明してくれたかい?
うん。天井と床との反射が繰り返されるからって説明してくれたけど、後から考えると、なぜ、竜のある場所だけで鳴くか、不思議な気もする。
鳴き竜については、詳しい資料があるから、それで説明してあげよう。竜の絵は、元々は、狩野永真安信(かのうえいしんやすのぶ) によって描かれたそうだけど、鳴き竜のある薬師堂が、1961年に火事で焼けてしまい、1968年に、竜の絵を、堅山南風(かたやまなんぷう)画伯が復元したんだそうだ。
そうだよ。だから、その音を再現するために、模型実験を行って、その効果を確認し、絵だけではなく、音も復元したそうだよ。
へぇー。その模型実験って、どんふうにやったんだろう?
昭和40年に出された論文[1] ※には、模型実験の前に昭和28年に実物で測定した結果について次のようなことが書いてある。 「繰り返される反射波の数は29 回/秒、60 dB 減衰するのに 2.5 秒、6 cm のむくり (天井が2次元凹曲面) のため、中央で手を叩いてた音が、天井と床との往復反射で長く響く 」 とね。 この図(図1)にあるように、当時のオシログラフで観察した結果、反射波のパルスが連続してあらわれており、これが竜が鳴くと形容された現象を表してるんだよ。模型実験 (1/4スケール)では、むくりの大きさ、音源の位置による波形の違いを観測して、再現するために必要なことを明らかにしたと書かれている。