なんだか難しいね。耳が両方についているから、音が来る方向がわかるということはイメージし易いけど。
そうだね。じゃあ、響きがない部屋
(無響室)で、音源が1つのときを考えてみよう。 真正面から音が来たときは、両耳に入る音波に時間的なギャップはないから、真正面に音源があると感じる。 ただ、真後ろからでも同じだから、時間差がないのは、真後ろからの音は真正面からの音と間違うことも多いんだ。
へえー、そうなんだ。真後ろからの音を真正面から来たと間違ってしまうことって、経験したことがないように思うけどね。
普通の部屋では、真後ろからの音以外の、壁や天井からの反射音が後方からの音の情報となっていることが一つの理由だね。もう一つは、音は意味を伴うことがほとんどだから、その音が何の音か、聴いた瞬間に日常的に把握している周囲の環境の情報と重ね判断しているんだね。
音以外に情報がなくて、しかも壁や天井からの反射音がこない実験室で音を呈示する実験は、普段経験してることとは違うということなんだね。
そうだね。でも、こういう実験は、不確定な要因をなるべくなくして、シンプルにしないと、本当のことがわからないからね。1つ1つの実験で明らかにしたことを総合して、現実の環境で起こっていることを説明できることが必要なんだよ。
「 そうだったね。おとは、人がどれぐらいの角度で音の方向を聴き分けていると思う?
実は、正面に近い方向では、周波数によって差があるけど1〜3度ぐらいの分解能があるんだ。これは、結構凄いことで、両耳に入る音の時間差は10万分の1秒 (10 μs) くらいしかないんだ。
そんなに細かい角度まで聞き分けることが出来るんだね。正面から離れるとどうなるの?
正面から60度ぐらい横のほうになると、方向定位の精度はかなり落ちて、真横からでは、40度ぐらいの幅でしか感知できないだ。(図3)