技術レポート 音質評価とは 4
10.解析例
ここでは興味有る例として、「掘削機の音とシンフォニー」と「自動車エンジンの暖機運転前後音」を取り上げます。
10-1 掘削機音とシンフォニー音
次の分析例では、掘削機の音と、シンフォニー(ベートーベン、交響曲第5番第4楽章より)を比較します。 この2つの音は全く異なる音ですが、現在一般的に、音の評価に使われている 1/3オクターブ分析を行った場合、下のデータの様にほぼ同様のスペクトルになってしまいます。
音質の評価パラメーターには様々なものがありますが、ここでは音の粗さを表すパラメーターであるラフネスを使ってこの2つの音を比較評価してみます。 次のグラフはラフネスのスペクトルを表したものです。値が高いほど音の「粗さ」が大きいことを表しており、シンフォニーの音と掘削機の音の差を「粗さ」の差で明確にとらえることができます。
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シンフォニー音 -
掘削機音
10-2 自動車エンジン暖機運転前後の音
次に、自動車のエンジン音について、音質評価を行った例を紹介します。自動車のエンジン音はエンジンの温度が低い場合と高い場合で音質が異なります。 暖機運転前では甲高い音が耳について聞こえ、暖気運転後は小さくなってきます。 これらの音を従来から用いられている 1/3オクターブスペクトルで分析してみると、次に示すように、暖機運転前も後もほぼ同じスペクトルとなります。 つまり、従来の方法では暖機運転前後の音質の違いを分析・評価することはできないことになります。
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暖機運転前 -
暖機運転後
まず、最も基本的な音質評価量であり、人が聞いた音の大きさに比例する値を表すことができるラウドネスを使って分析を行ってみます。
横軸は周波数、縦軸がラウドネスです。暖機運転の前後でラウドネスに大きな差はなく、音の大きさはほぼ同じであるといえます。
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暖機運転前 -
暖機運転後
次のデータは、音質評価量の1つである変動強度で分析した結果です。横軸が周波数で、縦軸は変動強度の強さになります。
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暖機運転前 -
暖機運転後
変動強度とは、音の大きさの変動を人が感じるのと同じように表す評価量です。 グラフの赤丸印で囲んだ部分で、大きな違いが見られます。この周波数は 4 kHz 前後です。 これらの結果から、暖機運転前のエンジン音の甲高い、嫌な変動感は 4 kHz の成分が変動しているためであることが分かります。 このように、音質評価量を使うことにより、異音等の効果的な分析が行えます。
最後に
より快適な音環境をつくるためには、より人間に近い音の評価が効果的です。小野測器は快適な音環境作りのためのお手伝いをいたします。
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