年も改まりましたので、気持ちも新たにもう一度「基礎からの周波数分析」を今回から勉強していきたいと思います。
今回は、周波数分析の基本的でかつ中心的な技術である「フーリエ変換」を理解するための数学的な基礎をお話しします。数学といっても、高校数学+α程度です。
数学の基礎知識としては;
- 微積分
- 三角関数(円関数)と指数関数
- 複素数(直角座標、極座標、複素平面)
- 複素指数関数(オイラーの公式)
などが、必要となります。
まず、角度の単位について、お話しします、
円を一周すると角度は360度ですが、角度を度(deg)で表す方法を度数法と言いますが、円周率πを基準として表す方法もあります。これを弧度法と言い、数学でよく使う角度の表記法です。具体的に、360度は弧度法では2πで、その単位はradian(ラジアン、rad)ですが、通常はこの単位は省略されます。
度数法と弧度法の換算
1度 = π/180 = 0.01745・・
1(rad)= 180/π = 57.2957・・(度)
なぜ、数学では弧度法を使うのでしょうか? 理由の1つは、円や扇形の円周や面積の表記が簡単になることもありますが、数学的には三角関数の微積分が簡単になることです。
xを弧度法とすると;
.................................(1)
................................(2)
................................(3)
と、大変簡単になります。これが度数法だと、π/180の係数が付き面倒になります。
次は、一般角に拡張された三角関数(円関数)についてお話しします。サイン(正弦)やコサイン(余弦)などの三角関数は、直角三角形の辺の比として定義されますが、数学では、半径1の単位円上にある点Pがその円に沿って回転するときの点Pのx座標がコサイン、y座標がサインと定義されます。
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図1 単位円と一般三角関数
図1 にて、原点0と点Pで作るベクトルOPとx軸上とのなす角をθとすると;
.................................(4)
と定義されます。点P(あるいはベクトルOP)が円上を回転するとき、反時計回りを正、時計回りを負の角度と定義して、グラフを描くと、図1のような余弦関数と正弦関数が得られます。また、円を一周すると2π(= 360°)なので、余弦関数と正弦関数は周期2πの周期関数であることが分かります。三角関数はこの定義によって円関数と呼ぶことがあります。
また、円の半径(ベクトルOPの長さ)は1なので、明らかに;
.................................(5)
の関係があります。
次に、自然対数の底であるネイピア数eについてです。
ネイピア数eは、以下で定義されます。
.................................(6)
このネイピア数eを使った指数関数やこの値を底とする自然対数logxを定義すると、詳細説明省きますが、これらの微分がものすごく簡単になります。すなわち;
.................................(7)
.................................(8)
また、指数関数exをべき級数展開すると;
................................(9)
式(9)で、x = 1を代入すると;
...............................(10)
となり、この式からeを計算すると、式(6)のようになります。
少し脱線しますが、2004年頃、シリコンバレーの通りに下記のような広告看板が出ました。これは、アメリカのIT会社Googleの求人広告で、このURLにアクセスして応募しろという意味だそうです。
{ first 10-digit prime found in consecutive digits of e }.com
(「eの連続した桁で見つかる最初の10桁の素数」)
無理数eの値から上記に合う10桁を見つけるのは、プログラミングしないと難しいですね。
次に、複素数に関しての話しです。
-
図2 複素平面(ガウス平面)
2乗して-1となる数を定義します。これを虚数単位iと呼びます。
...............................(11)
複素数zは、任意の実数a、bを用いて;
z=a+ib ...............................(12)
と定義されます。図2の複素平面上で、絶対値rは;
...............................(13)
偏角θは;
..............................(14)
絶対値rと偏角θを使って、zの極形式は;
z=r(cos θ+isin θ)
...............................(15)
任意の複素数zは、式(12)の直角座標形式と式(15)の極座標形式の2通りの表現が出来ます。
【具体例】
このように、複素数は、複素平面(ガウス平面)上で幾何学的に考えると分かりやすいです。
ここで、虚数単位iの幾何学的な意味について考えます。iを極形式にすると;
...............................(16)
式(15)と式(16)を掛けると;
このように、「複素数zにiを掛けるということ」は、位相角を90度(= π/2)進ませる、または90度回転させることに相当します。
-
図3 zにiを掛けると
最後に、「オイラーの公式」についてです。これまで、説明したネイピア数eと虚数単位iを使って;
..............................(17)
この式(17)をオイラーの公式と呼びます。さらにこれを変形して;
...............................(18)
この式(18)をオイラーの公式と呼ぶ場合もあります。
さて、式(17)を使って、式(15)を変形すると;
...............................(19)
となり、任意の複素数を非常に簡単な形で表すことが出来ます。
となり、任意の複素数を非常に簡単な形で表すことが出来ます。
式(19)の表現は、交流電気回路や音や振動などの波動方程式になくてはならないもので、複素指数関数(複素正弦関数)と呼ばれています。
複素数とオイラーの公式の詳細な説明は、以前の計測コラム(参考)を参照下さい。
最後に式(17)にx = π を代入すると;
と、今回説明した定数(π、e、i)の美しい関係式が得られます。
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【参考資料】
デジタル計測の基礎 - 第16回「複素数の話」
デジタル計測の基礎 - 第17回「複素数の話(その2)」
(2012年1月26日発行メールマガジンより抜粋)