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音の測定の基礎 - 第19回「残響理論と残響時間の測定」その5 - 平均自由行路とEyringの式の導出 -

前回は、n回反射までを含む室内の音響エネルギー密度、即ち、直接音とn回までの反射音のエネルギー密度の合計として(1)式を導き、(2)式に示す平均自由行路を導くところまでお話しました。

  • 音の測定の基礎 - 第19回「残響理論と残響時間の測定」その5 - 平均自由行路とEyringの式の導出 -_No.1

     α―:内装面の平均吸音率   V:室容積(m3
     p:平均自由行路       W:音源の出力

(1)式から、定常状態のエネルギー密度をE0=PW/cVaと求め、Sabineの理論式のE0=PW/cSaと等しくなることから、平均自由行路pは;

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と求まります。繰り返しますが、この平均自由行路は、反射1回当たりに音が伝搬する距離で、室形状にはよらず、室容積と総表面積で決まります。

今回は、残りのプロセスを完了させて、Eyringの残響式を導出します。

まず、t秒間に境界面で反射する回数を求めます。t秒間に音はc t [m]伝搬し、反射1回当たり音が伝搬する距離が平均自由行路pですから、c tを平均自由行路pで割って、c t / pとなり、(2)式よりc t / p=cS/4Vtと表せます。

定常状態で音源を停止してからt秒後、すなわちn=cSt/4V回反射した後のエネルギー密度Eは、定常状態のエネルギー密度E 0から、先に求めたE n(n回分の反射音の合計エネルギー密度+直接音のエネルギー密度)を引いた値です。

E nは、上記(1)式で示したように、E n=E01-(1-α)nですから、n回反射後のEは下の式(3)で求めることができます。

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この式は、反射回数nで表した減衰の式といえます。

  • 図1 Eyringの減衰過程
    図1 Eyringの減衰過程

図1は、(3)式の減衰式を示したものです。

ここで、反射回数nで表された減衰式を、時間tの式に戻します。(3)式に、n=cSt/4Vを代入し、E/E0=10-6となるt = Tを求めれば、このTが残響時間となります。

  • 音の測定の基礎 - 第19回「残響理論と残響時間の測定」その5 - 平均自由行路とEyringの式の導出 -_No.4

これが、Eyringの残響式です。定数Kは、Sabineの場合と同じ数字(気温20℃で0.161)となります。

ここまでは、室内の吸音要素として境界面における吸音だけを考えました。しかし、空気中を伝搬する音のエネルギーは、空気中の分子、特に水分子によって吸収されます(分子吸収)。ホールや大会議室など室の容積が大きくなると、この空気吸収による影響が無視できません。これを考慮するために、KnudsenはEyringの残響式に補正を施しました。

  • 音の測定の基礎 - 第19回「残響理論と残響時間の測定」その5 - 平均自由行路とEyringの式の導出 -_No.5

これをKnudsen-Eyringの残響公式といい、ホールなどの残響設計には、通常この公式を用いて、残響時間の計算を行います。mは、空気による減衰率で、周波数、温度、湿度で異なりますが、設計では標準状態の20℃、60%を想定し、以下の数値を用います。

1000Hz:0.001、2000Hz:0.002、4000Hz:0.006

(2010年10月21日発行メールマガジンより抜粋)