今回は、前号の運動方程式の各力のベクトルと、ζを求めるもう1つの方法である応答倍率(周波数応答関数)から半値幅法で減衰率ζを求める方法に触れておきましょう。
半値幅法ーQ値
前号より外力の周波数ωが固有周波数ωoに近づくと、ζ≪1では
(x/A)max=1/(2ζ) (32)
になります。
この値は図5のように、固有周波数ωoを、ピークの1/√2の値(パワーでは1/2になります)にあたる周波数の幅Δfで割った値(Q値:Quality factor)と一致いたします。
Q値=ωo/Δω=fo/Δf=1/(2ζ) (33)
何故そうなるかは次の「Q値」を参照ください。
制振材料などの評価では、FFTアナライザーから半値幅法でζを求める方法は、よく使用されています。ζを精度よく求めるには、応答倍率(周波数応答関数)の周波数分解能をあげて、Δfの読み取り精度をあげる必要があります。
周波数分解能をあげるにはサンプル長を多く取ったり、ズーム機能を使います。
図5:半値幅法とQ 値、減衰比 ζ
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Q=1/(2ζ)=ω0/(ω2-ω1)
ω2、ω1を計算値から探すと、ω2=約20.9、ω1=約18.9Δω=ω2−ω1= 約20.9 - 約18.9
ωo=20
Q=ωo/Δω=1/(2ζ)=20÷2=10ζ=0.05 と、半値幅法の確認ができました。
強制定常振動の力のつりあい
強制振動の定常振動時の力のつりあいを考えるにあたり、1自由度の運動方程式とその解、ちょっと表現を変え、まとめのつもりで再記しますと、次のようになります。
運動方程式
mx''+cx'+kx=Fcosωt
x''+(c/m)*x'+(k/m)*x=(F/m)*cosωt
=(F/k)*(k/m)*cosωt ・・・(34)
ここで、
ωo=√(k/m)、ζ=c/Cc=c/2√(mk)、c=2ζ√(mk)、
c/m=2ζωo、Xs=F/k(静たわみ) ・・・ (35)
と置くと、運動方程式の式(34)は
x''+2ζωox'+ωo^2=Xs*(ωo^2)*cosωt ・・・(36)
強制定常応答の解xは
η=ω/ωo、として、
x=Dcos(ωt-θ)
D=F/k*1/√[{1-η^2}^2+(2ζη)^2]
=Xs*1/√[{1-η^2}^2+(2ζη)^2]
θ=tan-1(2ζη/(1-η^2) ・・・ (37)
応答倍率は
D/Xs=1/√[{1-η^2}^2+(2ζη)^2] ・・・(38)
外力Fcosωtにつりあう力は、慣性力-mx''、減衰力-cx'、バネ力-kxになります。その関係は、
外力
Fcosωt
変位
x=Dcos(ωt-θ)
慣性力は
-mx''=+m(ω^2)Dcos(ωt-θ)
減衰力は
-cx'=+cωDsin(ωt-θ)=cωDcos(ωt-θ-π/2)
バネ力は
-kx=-kDcos(ωt-θ)=kDcos(ωt-θ-π)
位相の関係を慣性力の方向を基準に考えると、
- 慣性力はxと同位相
- 外力Fは慣性力よりθの進み、
- 減衰力は慣性力よりπ/2の遅れ
- バネ力は慣性力よりπの遅れ
D応答倍率、θ位相は前号図3、4のようにωで変化することに注意し、慣性力、xを基準にベクトルで表わすと、図6の様になります。
なお、図6のベクトルの大きさはイメージで描いていますので了承ください。
図6:外力 F、慣性力 mω2D、減衰力 cωD、バネ力のつりあい
ω<ωoの場合
ωが小さい時は慣性力mω2Dは小さく、外力Fと慣性力でバネkDに対抗する形になる
ω=ωoの場合
慣性力は外力より90度遅れ、慣性力とバネ力が対抗し、外力と減衰力が対抗する関係になる。xは最大(Dが最大)になり、慣性力、バネ力も最大となる。また、速度も最高になり減衰力も最大となる。
ω>ωoの場合
ωが大きくなると慣性力は外力より次第に180度遅れてくる。Dはωが大きくなると小さくなり、kD、cωDは小さい。慣性力はω2に比例するが、一定の大きさFにつりあうため、x(D)は急減する。
参考文献:モード解析入門 長松昭男著 コロナ社発行
(2006年7月20日発行メールマガジンより抜粋)