前回で例題を解きましたが、文献で説明されている強制振動の一般解と比較してみましょう。
外力Fsinωtが質量mに働いたときの運動方程式は
mx"+Cx'+kx=Fsinωt ・・・(21)
x"+2ζωox'+ωo^2x=fsinωt ・・・(22)
ただし、ωo=√(k/m)、f=F/m、ζ=C/Cc=C/(2√(mk))
この解は
x=Ce^(-ζωot)cos(√(1-ζ^2)ωot−Φ)
+A/√[{(1-(ω/ωo)^2}^2+(2ζω/ωo)^2]* sin(ωt-θ) ・・ (23)
A=f/(ωo^2)=F/k
θ=tan-1[2ζ(ω/ωo)/{1-(ω/ωo)^2}]
CおよびΦは初期条件から決まる定数
第1項は時間が経つと、振幅は減衰して小さくなります。よって継続する強制振動による応答は第2項のみ考えればよく、
第1項は過渡応答を示します。
x=Ce^(-ζωot)cos(√(1-ζ^2)ωot−Φ) ・・・ (24)
第2項は定常応答を示します。
x= A/√[{(1-(ω/ωo)^2}^2+(2ζω/ωo)^2]* sin(ωt-θ) ・・・(25)
前回の例題で取り上げた式(3)と式(22)を併記すると、
x''+2ζωox'+ωo^2x=fsinωt ・・・(22)
x''+12x'+400x=20cos10t ・・・ (3)
係数を比較すると
10→ω、20→ωo、0.3→ζ、20→f
がわかります。前回の計算過程で数値を記号に置き換えて考えると式(25)が得られます。
sinωtはcos(ωt+π/2)とcosの90度進んだ波形ですので、位相差を考慮すればsinもcosも同様に考えることができます。
さて、定常応答の式(25)の振幅に注目します。周波数がωの時の振幅は
x/A=1/√[{(1-(ω/ωo)^2}^2+(2ζω/ωo)^2]
ただし、A=f/(ωo^2) ・・・(26)
式(26)は振幅倍率、あるいは応答倍率といわれています。
文献ではX軸にω/ωoをとり、色々なζの値でグラフ化され説明されています。
ここでは例題の式(27)の応答倍率のグラフを描いてみました。
x''+12x'+400x=20cosωt ・・・ (27)
ωo=20、ζ=0.3を式(26)(23)に代入して
x/A=1/√[{1-(ω/20)^2}^2+{0.6ω/ωo}^2] ・・・(28)
A=f/ωo^2
θ=tan-1[(0.6ω/20)/{1-(ω/20)^2}] ・・・ (29)
下図は式(28)、(29)をグラフにしたものです。
図1:例題の1自由度系強制振動モデル
図2:応答倍率
図3:X,Y軸を対数で表示した応答倍率
図4:位相差
ωがωo=20、つまり強制振動の周波数が固有周波数に一致すると
x/A≒1/(2ζ) ・・・ (30)
になります。
応答倍率が最大になるωmはωoより少し小さくなります。
式(25)を微分して、これが0になるωの値となります。(補足参照)
ωm/ωo=√(1-2ζ^2) ・・・ (31)
これを式(24)に代入すると最大応答は
(x/A)max=1/{2ζ√(1-ζ^2)} ・・・ (32)
ζ≪1では次のようになります。
ωm=ωo
(x/A)max=1/(2ζ) ・・・ (33)
ωmはζが大きくなるほど固有周波数ωoより小さくなります。
図1はこのモデルを、図2は式(28)をグラフにしたもので、最大値はωmが約18(rad/s)のとき、1.75(倍)になります。
図3はX,Y軸を対数を取ってグラフにしたもので、ボード線図といいます。
Y軸の値は例えば最大値では
(x/A)max (dB)=20Log1.75=4.86 (dB)
図3を見るとωが大きいところでは、ωが2倍になると約-12dBの傾斜(-12dB/octave、10倍では-40dBの傾斜 -40dB/decade)で直線的に減衰しています。
図4は式(29)の位相をグラフにしたもので、X軸を対数にとって描いています。ω=ωoでは90degになり、ωが大きくなると180degに近づきます。
図3、4は気付かれたかと思いますが、FFTアナライザーではよく見かけるグラフです。FFTアナライザーを使い加速度/力、または加速度を2重積分した変位/力として実験的に図3を求めることができます。
外力が単一の周波数の振動応答を説明してきましたが、周波数の違う複数の外力が重なって働く場合も、おのおのの周波数の外力に対する応答を重ね合わせればよく、外力が複雑な波形はフーリエ変換できることを考えれば、FFTアナライザーを使う有意性はこのようなところにあるといえます。
<補足>
ωmを求める。 微分法の公式
y=f(g(x))
dy/dη=dy/dz*dz/dη=f'(g(η))g'(η)
を使います。
式(26)でη=ω/ωoと置いて
y=1/√[{(1-η^2}^2+(2ζη)^2]
=[(1-η^2)^2+(2ζη)^2]^(1/2)
極値の条件 dy/dη=0より
dy/dη=1/2*{(1-η^2)^2+(2ζη)^2}^(-1/2)*{-4η+4η^3+8ηζ^2}
=1/2*{(1-η^2)^2+(2ζη)^2}^(-1/2)*{η(-4+8ζ^2)+4η^3}
=0
また、η≠1、η>0 を考慮して
1/2*{(1-η^2)^2+(2ζη)^2}^(-1/2)≠0
これで両辺を割ると
{η(-4+8ζ^2)+4η^3}=0
よって
η=√(1-2ζ^2)
参考文献:実用機械振動学 国枝正春著 理工学社発行
(2006年6月22日発行メールマガジンより抜粋)