今回は、1自由度系の物体に直接外力f(t)が働く強制振動の場合を解いていきます。運動方程式は
x''+2ζωox'+ωo^2x=f(t) ・・・ (1)
■非同次方程式を解くには
式(1)は数学では非同次方程式といわれ、これを解く手順は、
(1) (t)=0とした同次方程式
x''+2ζωox'+ωo^2x=0 ・・・ (2)
を解きます。この解は一般解といいます。
(2)非同次方程式
x''+2ζωox'+ωo^2x=f(t)
の特殊解を求めます。
(3)全体の解
全体の解は、一般解と特殊解の和をとります。
■例題式(3)を解く
前号と同じ系に20cos10tの外力が作用した場合の式
x''+12x'+400x=20cos10t ・・・ (3)
を例にとり、解いていきましょう。
(1)一般解を求める
振動解析 -26「応答スペクトル - 3」で説明した通り(1)は特性方程式を用いて解きましたので、結果のみ引用します。
x''+12x'+400x=0
x=e^(-6t)・{Ccos19.1t+Dsin19.1t} ・・・ (4)
C、Dは初期条件で決まる定数
(2)特殊解を求める
特殊解を求めるには、特殊解の形を想定して仮定します。
f(t)がKcosωtまたはKsinωtの場合、その特殊解は
X=Ae^(ikt) ・・・ (5)
ただし、式(4)の一般解の中に式(5)と同じ形がある場合は
X=tAe^(ikt) ・・・ (6)
を考える。
ここでは式(5)を特殊解の形と仮定して解いていきます。
式(3)ではf(t)=20cos10tになっていますが式(5)のXは
X=Ae^(ikt)
=Acos(kt)+iAsin(kt) ・・・(7)
Xは複素数ですが、実数部はcosとなっていますので、
20cos10tを20e^(10it)と置いて「複素数の指数関数で計算後、実数部
のみとる」ことに注意して解いていきます。 解の形を
X=Acoskt+Bsinkt ・・・ (8)
と仮定して解く方法もよく使われますが、ここでは複素数を指数関数にすると微積分などの計算がしやすくなるということで、指数関数で表わします。では手順に沿って特殊解を求めていきます。
x''+12x'+400x=20cos10 ・・・ (3)
式(3)の特殊解を
x=Ae^(10it) ・・・ (9)
と置くとその導関数は
x'=10iAe^(10it) ・・・ (10)
x''=-100Ae^(10it) ・・・(11)
20cos10tを20e^(10it)とし、導関数を式(3)に代入すると
-100Ae^(10it)+120iAe^(10it)+400e^(10it)=20e^(10it) ・・・(12)
整理し、Aを求めると
Ae^(10it){-100+120i+400}=20e^(10it) ・・・(13)
A=20÷{300+120i}
=20÷{√(300^2+120^2)e^{tan-1(120/300)i}}
=20÷{323e^(0.38i)}
=0.0619e^(-0.38i) ・・・(14)
{323e^(0.38i)}は{300+120i}を極形式で表したものです。
よって式(9)は
x=0.0619e^(-0.38i)・e^(10it)
=0.0619e^i(10t-0.38)
=0.0619{cos(10t-0.38)+isin(10t-0.38)} ・・・(15)
この実数部を取って、
x=0.0619cos(10t-0.38) ・・・(16)
これが特殊解となります。
(3)全体の解
一般解式(4)と特殊解式(16)の和をとると
x=e^-6t(Ccos19.1t+Dsin19.1t)+0.0619cos(10t-0.38)・・・ (17)
が得られました。
これに初期条件として、物体を1m動かし、振動数ω=10(rad/s)の周期の外力を与え、そっと離した場合をとると
t=0で、x=1、x'=0
この条件でC、Dを求めていきます。
式(17)に条件を代入しCを求めると
1=C+0.0619cos(-0.38)
C=0.9425 ・・・(18)
次にx'を計算し、
x'=-6e^(-6t){Ccos19.1t+Dsin19.1t}
+e^(-6t){-19.1Csin19.1t+19.1Dcos19.1t}
−0.0619*10sin(10t-0.38) ・・・(19)
初期条件t=0で x'=0 を代入すると
0=-6C
+19.1D
+-0.619sin(-0.38)
式(18)を代入しDを求めると
D=0.284
一般解はC、Dを式(17)に代入し
x=e^(-6t){0.9425cos19.1t+0.284sin19.1t}+0,0619cos(10t-0.38)
=0.984e^(-6t)cos(19.1t-0.293)+0.0619cos(10t-0.38)
・・・(20)
として、解を求めることができました。
式(20)をグラフに描いてみました。図1は式(20)とe^(-6t)を重ね、また図2は見やすいように20cos10tの代わりに0.15cos10tをとり式(20)と重ねて描いたものです。この図から、約1sまでは過渡的な現象を表わし、その後は外力cos10tによる応答で、外力より-0.38radの位相差があることがわかります。またこのことは非同次方程式の特殊解を求めれば、強制振動の定常状態の形がわかるというこれに注目です。
図1:強制振動応答波形と過渡応答の振幅エンベロープ
図2:強制振動応答波形と外力
参考文献
複素数のはなし 鷹尾洋保著 日科技連出版社
(2006年5月25日発行メールマガジンより抜粋)