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振動解析 -27「応答スペクトル -4」

(2-5)減衰定数と対数減衰率

今号では減衰定数と対数減衰率との関係を考えます。

図3:減衰波形図3:減衰波形

図3の減衰波形の相隣り合う波高値をx1、x2、x3・・・とし

その比をe^δとすると

e^δ=x1/x2=x2/x3=・・・=xn-1/Xn   ・・・(16)

ここで x1=e^(-ζωoT1)、x2=e^(-ζωoT2)、T2=T1+Tdであり、

また、Tdは減衰波形の1周期で、

  Td=2π÷(ωo√(1-ζ^2))           ・・・(17)
          (1-ζ^2は√の中を示し以下同様)

 e^δ=x1/x2=e^(-ζωoT1)/e^(-ζωo(T1+Td))
   =e^(ζωoTd)

自然対数をとり

    δ=ζωoTd

     =2πζ÷√(1-ζ^2)                  ・・・(18)

 ζ≪1では 

    δ≒2πζ                  ・・・(18‘)

また

   x1/xn=(x1/x2)(x2/x3)・・・(xn-1/xn) ・・・(19)

      =e^(nδ)

よって

   δ=(1/n)*Ln(x1/xn)             ・・・(20)

振幅が1/2になるまでのサイクル数をnとすると

  δ≒2πζ=(1/n)*Ln2=0.693/n

δは対数減衰率といい、減衰定数ζとは(18)(18‘)(19)式の関係があり、実験などで測定された減衰波形から、対数減衰率δさらに減衰定数ζをこれで求めることができます。

(2-6)ヒルベルト変換から減衰定数ζを求める

今までのことで固有振動数ωoと減衰定数ζがわかると、数式で表わせることがわかりました。ではωoやζを求めるにはどうしたらよいでしょう。
1つの方法として(2-2)項のように初期条件を与えて自然減衰波形から求めることができます。
FFTアナライザーではヒルベルト変換を使い包絡線(エンべロープ)をもとめ、その常用対数をとって表示された図4のグラフから対数減衰率、減衰定数を求める機能があります。この求め方を確認しておきましょう。

図4:図3のヒルベルト変換から対数減衰率を求める図4:図3のヒルベルト変換から対数減衰率を求める

例題:

𝑥=1.0012e−𝑡cos⁡(20𝑡−1/20)    ・・・ (1)

この式のエンベロープより、対数減衰率、減衰定数を求める。

上式(1)の包絡線yは次式になります。

y=1.0012e-t

この10log y2をとって表示したグラフを図4に示します。

x1、x2の点は任意に取ることが出来、例えばt=0.2sと1.2sの点は下表になります。振動解析 -27「応答スペクトル -4」

よって、

Δy = -1.72676 -(- 10.4127) = 8.68589

Δx = 1.2 - 0.2=1

また周波数fnは、cos[20t-1/20]より

fn=20            fn=20/2π

よって対数減衰率δは

            δ=0.115Δ_y÷(Δ_x×f_n )=0.115×8.68589÷(1×20/2π)0.314

対数減衰率と減衰定数の関係式(3)より減衰係数ζを求めると、ζ≪1くとして

δ=2πζ          ・・・ (2)

Ζ=δ÷(2π)=0.314+(2π) 0.05

この値は、本文(2-3)の説明のζと同じ数値になりました。

下記のように(1)式と一般式(2)を比較すると減衰定数を理解しやすくなります。

x=1.0012-tCOS(20t-1/20)   ・・・ (1)

x=Ae-ω0t cos(√(1-ς2 ) α0 t-ψ)    ・・・ (2)

図3、図4において、

   n=Δx÷Td=Δx*fn   (ωn=2πfn、fn:共振周波数)

また、(20)式は、対数の底を変換する公式

   LogbM=LogaM÷Logab 
     (LogaM:aを底とするMの対数、 M:LogaMの真数 、
      M=a^rとすると r=LogaM を表す)

よって、LnMは

   LnM=LogM÷Loge 
      (Lnは自然対数で底がe、Logは常用対数で底が10)  

を使用し変形すると

   δ=(1/n)*Ln(x1/xn)
    =(1/n)*Log(x1/xn)÷Loge
    =(1/n)*(1/20)*{20Logx1−20Logxn}÷Loge
    =(1/n)*{10Logx1^2−10Logxn^2}÷(20Loge)
    =1/(Δx*fn)*ΔY÷(20Loge)
    =(ΔY/Δx)*(1/fn)÷(20Loge)      
    =0.115*(ΔY/Δx)*(1/fn)        ・・・(21)

δは(21)式よりΔxとΔYの比から求められることがわかります。
ΔYは対数であることに注意しましょう。

図4例題の説明を参照ください。
(13')式を例にとり、減衰波形の振幅比から対数減衰率、減衰定数をもとめてみました。

    x=1.0012e^{-tcos(20t-Φ)}       ・・・(13‘)

(2-7)FFTアナライザーのヒルベルト変換

実際のFFTアナライザーではどうなるか確認してみました。
図5はDS2000シリーズFFTアナライザーのヒルベルト変機能を使い、対数減衰率Log.d、減衰定数Dampを演算させた画面です。

図5:x=1.0012e-tcos(20t-Φ)の減衰係数をヒルベルト変換で求める

  • 図5:x=1.0012e-tcos(20t-Φ)の減衰係数をヒルベルト変換で求める
    上:時間波形
    中:パワースペクトル(fn=3.125)
    下:ヒルベルト変換、Y軸Log、対数減衰率Log.d、減衰定数Damp、振動周波数Freqを演算表示

解析結果は

   Log.d:0.320  Damp:5.095%(0.05)自由振動周波数:3.125Hz

と式の通りとなりました。

測定対象によっては減衰波形は単一周波数とはならなく、ヒルベルト変換のグラフは直線にならないことがあります。これは高調波の影響、振幅の大きさにより減衰率が変わる振幅依存性など非線型の要素が考えられます。振幅を線形の範囲にする、Δxを大きく取ることで平均化減衰率とする、周波数帯域制限をかけてヒルベルト変換する、複数測定された減衰定数を平均する、周波数応答関数から求めたものと比較する、など評価方法の検討が必要です。

周波数帯域制限をかけたヒルベルト変換の処理は、周波数の帯域制限をかけてIFFT(逆フーリエ変換)された波形を求め、その波形をヒルベルト変換し対数減衰率、減衰定数を求めています。

 参考に図5のデータを使い、周波数帯域制限をかけIFFTで求めた波形を図6に示します。元のデータがきれいな為、周波数の帯域制限した効果は現れません。参考としてご覧ください。

図6:周波数帯域制限をかけたIFFT演算後、その時間軸波形から求めたヒルベルト変換>

  • 図6:周波数帯域制限をかけたIFFT演算後、その時間軸波形から求めたヒルベルト変換>
    上:図5のデータを共振周波数をはさんで帯域制限しIFF 演算した波形
    下:IFFT の波形を図5と同様にヒルベルト変換し減衰定数を求めた

2006420発行メールマガジンより抜粋)