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振動解析 -3「現代制御と古典制御」

今回は振動制御について説明しましょう。

1.制御の歴史

制御の歴史は古く、1950年代にはサーボ制御、プロセス制御などが考えられていました。制御は大きく分けて古典制御と現代制御があります。
古典制御理論は主として過渡特性や定常特性、定常誤差を重視した設計手法です。古典制御は開ループ周波数特性を整形することにより、制御対象を安定化することにありました。
これに対し現代制御と呼ばれる制御法があります。コンピュータなどの演算の高速化により現代制御を用いた振動制御は多く用いられるようになってきましたが、古典制御手法による振動制御はいまだに多く用いられています。この理由の1つは現代制御においては制御対象を運動方程式や状態方程式で記述する必要があり、状態方程式が不明では制御系の設計は困難という点にあります。
1960年代に入ると、多入力多出力系の制御システムを構築することが出来るようになりました。この現代制御理論をいち早く採用したのは航空宇宙産業です。古典制御では基本的に1入力1出力のシステムを対象としていますが、航空機の飛翔問題を解くにはラダーやフラップの推力など複数の入力に対応した制御システムを一元的に制御するための記述が必要であったためです。
現代制御は古典制御に比べ、多変数を取り扱うことができますので、多自由度系を対象とする振動制御に対して有効な制御理論といえます。
現代制御理論では前述した運動方程式を、行列を用いて状態空間表示で記述することにより統一的に取り扱うことができます。制御性能はこの状態方程式のモデル誤差や、外乱などのノイズの問題があり、注意が必要です。そこで制御対象の特性変化に対して対応できるロバスト制御の提案がありました。その後H∞制御理論等のポスト現代制御の台頭があり、このほかにも非線形に対するスライディングモード制御やファジー制御などのルールベースの制御法等が提案されています。

図:古典制御から現代制御までの流れ

  • 制御の歴史

さて、現代制御理論の中には、極配置理論、最適レギュレータ理論(LQR、 LQG)、オブザ―バ理論等が在ります。これらの共通した特徴は、設計領域が時間領域のデータを元に設計されていることにあります。
その後H2制御理論のように周波数軸上で設計を行うものも出てきました。
評価の中心としては、2次形式評価関数を用いて、この関数を最小にするように状態フィードバックゲインを定めるようにしています。このため、最適設計理論においては、全状態変数でのフィードバックが必要であり、その際のモデルの精度も厳密に把握されていなければなりません。また設計パラメータの決定法が試行錯誤になることが多く、繰り返して最終的な制御系を選択することになります。たとえば振動制御を行う場合、低次の振動を対象とするとモデルの次数は低くなるが、この際に省かれた高次モードにより不安定になる場合があります。これはスピルオーバーと呼ばれ、この問題の場合、スピルオーバーの影響をいかに小さくするかについて工夫が報告されています。

その後、H2制御理論のように周波数軸上での設計を取り入れることにより、ロバスト性がある制御設計を行うことができるようになりました。さらに、ロバスト制御系であるH∞の制御設計では、周波数軸上で設計を行い、かつ、特異値Bode線図を用いて設計を行います。これにより制御対象の、より高次の安定性を確保しながら、目的の性能を満足できるようになってきました。順に概要を説明していきます。

2.運動方程式と状態方程式

前回では運動方程式を、行列を用いて表しました。これに次の状態変数ベクトルを次のように導入して

   X=┏ x1’┓
    ┃ x2’┃
    ┃ x1 ┃                         (7)
    ┗ x2 ┛

状態方程式で記述してみましょう。
前回の運動方程式、式(1)を整理すると

x1”−{-k1/ m1・x1+k1/m1・x2}=0
x2”−{k1/m2・x1-(k1+k2)/m2・x2}=0

 ┏ x1''┓ ┏0 0  -k1/m1 k1/m1  ┓  ┏  x1' ┓ ┏ 0 ┓  
 ┃ x2‘’┃− ┃0 0   k1/m2 (k1+k2)/m2 ┃┃  x2 '┃=┃ 0 ┃  
 ┃ x1’ ┃ ┃1 0   0    0   ┃  ┃  X1   ┃ ┃ 0 ┃  
 ┗ x2’ ┛ ┗0 1   0    0    ┛ ┗  X2  ┛  ┗ 0 ┛   (8)

これは

X‘― AX=0                           (9)

ここで外乱Uが入力されたとすると

X’=AX+bU                           (10)

     b= ┏ 1 ┓
       ┃ 0 ┃
       ┃ 0 ┃ 
       ┗ 0 ┛

と表されます。
次に観測行列Cを定義し、出力をYとすると

 Y=CX+d   (d:外乱)                  (11)

式(10)、(11)を1対として、状態方程式に表すことができました。

■補足

○状態量、伝達関数、周波数応答関数の定義

ある形が、時間や周波数等によって変化する入力を受け、その応じる形で何らかの信号量を出力しているとする。状態量(state value)とは変位や速度など、形の状態を決定する量を言う。振動工学では入力として加振力、出力(応答)として変位、速度、加速度を用いることが多く、入力と出力の比を伝達関数(transfer function)と言う。角振動数又は振動数(周波数)を独立変数に取り、その関数として定義した伝達関数を、特に周波数応答関数(FRF:Frequency Response Functoin)という。   補足出典:「モード解析入門」長松昭男

(2004年3月18日発行メールマガジンより抜粋)