2自由度系
簡単な例として前号図3のように減衰の無いN=2の2自由度系の質点モデルを考えみましょう。この運動方程式は次のように記述できます。それぞれ質量、剛性、変位をm1、k1、x1、m2、k2、x2とすると
m1・x1”−k1(x2−x1)=0
m2・x2”+(k1+k2)x2−k1・x1=0 (1)
x1”、x2”はx1、x2の2階微分を表します。
m1・x1の・は掛け算を表します。
ここでx1”、x2”、x1、x2でまとめると上記の式は次のように表すことができます。
┏ m1 0┓┏ x1”┓ ┏ k1 - k1┓ ┏ x1┓ ┏ 0 ┓
┗ 0 m2┛┗ x2”┛ + ┗ -k1 (k1+k2)┛┗ x2┛ = ┗ 0 ┛ (2)
いきなり行列の表記となり、高校時代以来の人もいるかと思いますが、以降この行列による表現が理解の助けになります。
ここで
M=┏ m1 0 ┓ K=┏ k1 - k1 ┓
┗ 0 m2 ┛ ┗ - k1 (k1+k2)┛
E(0)=┏ 0 ┓
┗ 0 ┛
X”=┏ x1” ┓ X=┏ x1 ┓
┗ x2” ┛ ┗ x2 ┛
と行列を表すとすると式(2)は
M・X”+ K・X=E(0) (3)
となります。バネと質点の行列を用いた運動方程式として表されます。
これをMで割ると
X”+K/M・X=E(0) (4)
となり、これから「固有値」を求めこれの1/2πを掛けることにより固有周波数を求めることができます。また求めた固有値から「固有ベクトル」を求めるとこの固有ベクトルが振動の形状を現します。有限要素解析(FEM)などは形状を定義されたデータから上記の質量行列Mと剛性行列Kを生成して固有値解析を行うことにより計算上で固有振動数と振動モード形状を算出しています。
ここで固有ベクトルをΦとします。式(3)の運動方程式の両辺に左からΦ^-1(Φの逆行列)、右からΦを掛けると
Φ^-1・M・X”・Φ+Φ^-1・K・X・Φ=E(0)
整理をして
Φ^-1・M・Φ・X”+Φ^-1・K・Φ・X=E(0)
Φ^-1・M・Φ、Φ^-1・K・Φはそれぞれ「標準化され対角行列(三角行列)」となります。これは2自由度系の結合された(相互に影響を及ぼす)運動方程式が2個の1自由度のモデル(それぞれ独立した運動方程式を合成した式)に分離されたことになります。数学的には表現すれば「2個の直行した自由度に座標変換した」となります。これは多自由度系でも同様で、表現を逆にすると「相互に影響を及ぼすN自由度系の運動方程式はそれぞれ独立した1自由度系運動方程式をN個寄せ集めたものと考えて良い」ことになります。多自由度系を1つ1つの1自由度系に分離して検討すれば良いとなれば、FFTで分析された複数のパワースペクトルピークを、1つ1つ分離して検討して良いと言うことになります。
この応用がモード解析の考え方の基本になります。
モード解析の考え方
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2自由度系モデルは、2つの1自由度系モデル成分に分解することが出来ます。同様に、N自由度系モデルはN個の1自由度系モデル成分に分解することができます。これがモード解析の考え方です。
さてこの運動方程式は何に使うのでしょうか。たとえば振動制御を行おうとする場合、対象に振動制御のためのアクチェータを付加したとします。次回へつづく
(注)固有値、固有ベクトル、標準化、対角行列(三角行列)、直行、独立は数学用語です。
(2004年2月19日発行メールマガジンより抜粋)