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計測に関するよくある質問から- 第47回「光電式回転検出器で計測可能な回転速度はどう決まる?」

今月の計測コラムでは、当社お客様相談室によくお問い合わせいただくご質問をとりあげ、 回答内容をご紹介しています。
当社の LG-9200 や LG-930 といった、光電式回転検出器は、ディジタル回転表示器 TM-3100 シリーズなどと組み合わせて、モーターなど回転体の回転速度を検出するためのセン
サです。
その仕様に「最大応答速度」という項目があります。これは、検出できる回転速度の上限を規定したものです。

光電式回転検出器 LG-930

仕 様

仕 様
検出方式 :可視光光電反射方式
検出距離 :70~200 mm(専用反射マーク12 mm角使用時)
検出物体 :反射マーク
最大応答速度:25 m/s(専用反射マーク12 mm角を使用、貼付け間隔を48 mmにした時)

なぜ、回転速度を検出するためのセンサの規定値が「最大回転速度」ではなく、「最大応答速度」なのでしょうか?
光電式回転検出器では、センサ自身から照射した光を、測定対象に貼った反射マークに当て、戻ってきた反射光を電気信号に変換することで、回転速度検出用の信号を出力しています。光を電気信号に変換するためには、反射光をある程度の時間感知し続ける必要があるため、光電検出器の前方を「反射マークが横切る時間」が重要になります。この時間は反射マ ークの速度で決定されますが、回転体に貼られた反射マークの速度は、回転速度だけでは決まらず、計測対象の大きさ(回転中心から反射マークまでの距離)にも左右されます。
回転速度を計測する場合には、測りたい回転速度が、このセンサで測れるのか、予め計算し、確認しておく必要があります。
【計算方法】
回転中心から反射マークまでの距離をr(m)、回転速度をn (r/min) とすると、反射マークが貼ってある場所での移動速度 V (m/s) は、

V=2πr × n/60 (m/s)
と表すことができます。

この値がLG-930 の最大応答速度である、25 m/s 以下であれば、パルスカウンタや回転速度表示器で計測可能な信号を得ることができます。
実際に、回転中心から10 cmの付近に反射マークを貼った場合、LG-930で計測可能な最高回転速度を計算してみましょう。

図1
図1

LG-930の前面を通過する速度 V と回転速度 n の間には、次の関係が成り立ちます。
V = 2πr × n ÷ 60
LG-930は、最大速度が25 m/s のため、式①を満足する必要があります。
V = 2πr × n ÷ 60 ≤ 25
……………①

実際に数値を入れてnを計算してみると

n ≤ 25 × 60 ÷ (2π * 0.1) ………………②
n ≤ 2,387

回転速度が 2,387 r/min までは計測可能と計算できました。
何とか、回転速度 4,000 r/min まで測れないでしょうか?
回転速度 4,000 r/min の時、移動速度 V は
V = 2π×0.1×4,000/60 ≒ 42 m/s
となり、25 m/s を大きく超えているので、このままでは回転信号を検出できません。

図2
図2

回転速度の上限を拡大するには、以下の2つの方法があります。
その1式①において、n を大きくしても V が変らないためには、r を小さくすることが必要です。
例えば図2のⅰのように、反射マークの貼付位置を回転体の中心部に近づけて、半分の 5 cmにすれば、②式の結果は n≦4,775 となり、 4,000 r/min の回転速度を計測できるようになります。

その2
図2のⅱのように、反射マークを回転方向に複数並べて貼ることでも対応が可能です。
検出の成否は「反射マークが横切る時間」によって制限されるので、反射マークを長くすれ
ば、通過時間も長くなります。反射マークを2枚繋げて貼れば、通過速度は同じでも時間は2倍になり、2倍の速度(2倍の回転速度)まで測ることができるようになります。(3枚貼れば、3倍の回転速度まで計測できるようになります。)
回転速度の上限は無限に拡大できるわけではありません。例えば図 3 のように、回転中心からの距離も短く(1/2r)、反射マークも 3/4 周にわたって連続貼付した場合、①式から求められる回転速度は、約 90,000 r/min.以上にも達します。 ただし、この速度は計測できません。
反射マークを貼っていない部分が狭すぎて、全部が一続きの信号になってしまうからです。
製品仕様にある「貼り付け間隔を 48 mm にした時」という但し書きは、センサが反射マークの有無を見分けるための条件です。

図3
図3

仕 様
検出方式 :可視光光電反射方式
検出距離 :70~200 mm(専用反射マーク12 mm角使用時)
検出物体 :反射マーク
最大応答速度:25 m/s(専用反射マーク12 mm角を使用、貼付け間隔を48 mmにした時)

LG-930 では、反射マークの長さ1 に対し、反射マークの無い部分の割合が3 以上になるように反射マークを貼る必要があります。

応答速度を拡大するために、反射マークを複数貼る場合、反射マークが存在しない場所が最低その3倍必要になるので注意してください。

φ20 の回転シャフトの外周に反射マークを貼り、回転速度検出する場合、反射マーク1枚で計測できる最大回転速度 n は、
n ≦25×60/(2π×0.02)≒11,900 r/min
より速い回転速度を測るために、反射マーク(12 mm角)をもう1枚貼りつなげると、シャフトの円周は約 63 mm なので、反射マークと間隙が 24:39の割合となってしまい、先の条件を満足できません。反射マークの幅と間隙が1:3 という条件を満たすのは、反射マークの幅が最大でも16 mm 弱までです。反射マーク1枚の時に比べて、計測可能な回転速度は30%程増加しますが、このシャフトの大きさではこれが限界になります。
光電式回転検出器は、製品によって応答速度が異なるので、計測可能な最大回転速度も異なります。 測りたい(予想される)回転速度、計測対象の大きさ(回転中心から計測箇所までの距離)、検出器の応答速度、を組み合わせて製品を選択する必要があります。

(2022年7月20日発行メールマガジンより抜粋)