当計測コラムでは、当社お客様相談室によくお問い合わせいただくご質問をとりあげ、回答内容をご紹介しています。
本来、商用電源周波数は 50 Hz または 60 Hz の単一正弦波です。しかし、装置のパルス的な回路負荷によって、流れる電流は正弦波にならず大きな高調波成分を含み、この高調波電流歪みが送配電系統に流れ込んで、接続された他の機器に異常が発生したり、故障、電気ノイズの発生等、悪い影響を及ぼします。
また、太陽電池での発電でも、高調波が発生します。
太陽電池モジュールで発電した電力は直流電力です。この直流電力を家庭あるいは事業所で使うには、パワーコンディショナーで交流電力に変換する必要があります。しかし、パワーコンディショナー装置内の DC-AC 変換回路によって、変換される電圧は必ずしもきれいな正弦波にならず高調波成分を含んだ歪んだ波形となり接続する電子機器に悪影響を与えます。
波形がどれくらい歪んでいるかの指標は、全高調波歪み率になります。
一般には出力波形が基本周波数 f1 及び第2高調波 f2 、第3高調波 f3 、…などの高調波成分で形成されているときのそれぞれの実効値が|E1|、| E2|、| E3|、…とすれば、全体の歪み率は
で定義されます
なお、ある任意のn番目の高調波成分に注目するときには、
が使われます。(単に、歪み率という場合もあります。)
高調波電流歪み成分がどれくらい含有しているかは、FFTアナライザで解析できます。
高調波を、それぞれの周波数のパワースペクトルp1、p2、p3 … を用いて表すと、次のようになります。
例えば、電源電流をクランプ式電流計で捉え、FFTアナライザで周波数分析すれば、基本波(50 Hz または 60 Hz)と高次成分の大きさが求められます。
FFTアナライザには、全高調波歪み率、高調波含有率の計算機能が備わっています。
基本波を設定すれば、自動的に高調波をリストアップして、全高調波歪み率と高調波含有率を表示します。
下図は、O-Solution* での解析例です。
各高調波含有率とリスト表示の一番上に全高調波歪み率が表示されます。
リスト表示例
FFTアナライザを使えば簡単に評価できます。ご検討ください。
*O-Solution DS-5000 音響振動解析システム
参考アプリケーション例
(2021年3月17日発行メールマガジンより抜粋)