当計測コラムでは、当社お客様相談室によくお問い合わせいただくご質問をとりあげ、回答内容をご紹介しています。
騒音計の使い方の使い方に関する問い合わせで、「最大値が知りたい」 「ピークホールド機能はありますか?」 等 「ある計測時間中の騒音の最大値が知りたい」という質問をよく受けます。
騒音計の計測値の中には、MAX値(時間重み付きサウンドレベルの最大値)とPEAK値(ピークサウンドレベル)という、音の最大値を表す数値が二つあります。 この二つの計測値は、どちらもある時間内に発生した音の最大値を表しますが、演算の方法は異なり、使用する場面も異なります。
この二つの値を混同されているお客様も見受けられるため、 今回はMAX値(時間重み付きサウンドレベルの最大値)とPEAK値(ピークサウンドレベル)について解説いたします。
MAX値
PEAK値
MAX値とPEAK値は以下のような違いがあります。
→MAX値 … 測定時間内での、時間重み付サウンドレベルの最大値。時間重みがかかります。
→PEAK値 … 測定時間内での、瞬時音圧の絶対値の最大値をレベル化してもとめた値。
時間重みはかかりません。
またサウンドレベルLp は下記の式で求められます。このような演算を「レベル化する」とも言います。 p0 は基準音圧(2×10-5 Pa)、p 瞬時音圧(サンプリングしたデータ) の実効値です。(ピークサウンドレベルの時は、絶対値瞬時音圧の最大値)
つまり、基準音圧との比の常用対数をとり20 倍したものです。
MAX値とは
MAX値を求める場合、入力した音信号に対して、騒音計は以下のような処理を行います。
- 周波数重み(A特性、C特性、Z特性)をかける
- 時間重み(時定数:Fast、Slow)をかけて実効値化する
- サウンドレベル(時間重み付けサウンドレベル)を求める
- 測定時間内のサウンドレベルの最大値を求める
MAX値は、サウンドレベル(時間重み付サウンドレベル)の最大値であるため、実効値化するときの時定数によって大きさが変わることがあります。
ここで時定数の違いによるMAX値への影響について更に詳しく説明します。
時間重み付サウンドレベルは、実効値を求める際に時間重みがかかるため、音の変動が早いと追従しきれない場合があります。
下図は継続時間200 msの音圧(バースト)信号に対して、時間重み付サウンドレベルを計測したものですが、時間重みFast(時定数:125 ms)に対して、時間重みSlow(時定数:1s)ではレベル値の立ち上がりに長い時間がかかるため、立ち上がる途中で信号がなくなってしまい、Fastとの計測値に差が発生しています。
PEAK値とは
PEAK値を求める場合、入力した音信号に対して、騒音計は以下のような処理を行います。
- 周波数重み(A特性、C特性、Z特性)をかける
- 瞬時音圧の絶対値を求める
- 測定時間内の最大瞬時音圧のサウンドレベル(ピークサウンドレベル)を求める
PEAK値は、実効値演算をせず、ある計測時間内の最大瞬時音圧値をレベル化したもののため、時間重みの影響がありません。Lpeak > Lmax となり、正弦波の信号であれば約 3 dB の違いがあります。
MAX値とPEAK値
継続時間の短い衝撃的な音の場合、MAX値とPEAK値の差はずっと大きくなります。衝撃騒音であれば、10 dB 以上の差となることも珍しくありません。
下図は継続時間250μs程度の信号に対して、実効値をレベル化したものと音圧の絶対値をレベル化したものを比較した図です。
MAX値もPEAK値も、ある時間内の最大値を表しますが、使用される場面は異なります。
MAX値は、環境騒音における間欠音の計測や近接排気騒音の計測などに使われます。
PEAK値は、瞬時の音圧変化に対して追従性が良いため、騒音の衝撃性の評価のために使われたり、CE マーキング規制のための、C特性ピークサウンドレベル Lcpeak値の計測などに使われます。
騒音レベルの最大値を計測したい場合、PEAK値とMAX値のどちらが適切な計測方法かを見極めたうえで正しい方を選択する必要があります。
MAX値からPEAK値を、PEAK値からMAX値を後から求めることはできませんので注意してください。
違いを正しく理解し、必要なデータは何かを明確にしてから計測を始めてください。
参考:騒音計の表示値と演算結果の違いは何故生じるか?
騒音計の表示は1秒更新なので、「表示A」→「表示B」と変化しますが、レベルデータは騒音計のサンプリング時間間隔で算出しています。
LA-1411 / LA-1441Aでは、31.25 μs間隔、LA-4441Aでは、20.83 μs間隔、LA-7000シリーズでは、15.625 μs間隔で算出します。
Lmax値やLpeak値はこのサンプリング時間間隔で算出したデータから得ているため、瞬時値表示で示された値とは大きく異なる場合があります。
(2021年2月17日発行メールマガジンより抜粋)