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計測に関するよくある質問から- 第42回「FFTと時間窓」

当計測コラムでは、当社お客様相談室によくお問い合わせいただくご質問をとりあげ、回答内容をご紹介しています。

第41回でFFTの周波数分解能と時間窓(ハニング窓)について紹介しましたが、今回は、
時間窓の種類によって、スペクトルがどう変わるかを紹介します。

下記バックナンバーもご参照ください。

計測に関するよくある質問から- 第41回「FFTと周波数分解能
基礎からの周波数分析(14)-「DFT(FFT)と時間窓
4.騒音の計測単位

FFT解析(フーリエ解析)では、時間軸波形をある長さに切り出してフーリエ変換しますが、
ほとんどの場合、切り取った時間波形の始点と終点で不連続な時間波形となり周波数スペクトルに誤差が生じます。現象としては、入力周波数のピークが鈍化して、両側にはなだらかな広がり(すそ)が生じてしまいます。スペクトルのピークは、真値と比較して小さくなり、その分だけパワーが両側の広がりに漏れた形となります。広がりをメインローブ、裾をサイドローブと呼びます。

上記のような誤差をなるべく少なくするために、切り取った時間波形にその両端を0 に収束させるような重み関数を掛けることを、「時間窓を掛ける」と言い、そのような重み関数を「時間窓」または「時間窓関数」と呼びます。

今回は、レクタンギュラ(矩形)、ハニング、ハミング、ブラックマンハリス、フラットトップの窓の特徴を紹介いたします。
FFT解析する時間波形は、周波数が1000 Hz、1002.5 Hz、1005 Hzのサイン波です。
これらの波形をサンプル周波数20480 Hz(周波数レンジ 8000 Hz)FFT解析の1フレームの点数は2048点で解析します。周波数刻み(分解能)は、10 Hzになります。
時間波形の周波数が、周波数分解能の中心からずれるとスペクトルの形状が変わり、ピーク値が小さくなってしまうのが分かります。ただし全体のパワーが小さくなるわけではないので、オーバーオール値は小さくなることはありません。

図1は、1000 Hzのサイン波に対する処理結果です。1000 Hzは、FFT解析の中心周波数にピッタリ合っています。 1000 Hzの値は0.0 dBとしています。

上から、レクタンギュラ、ハニング、ハミング、ブラックマンハリス、フラットトップの時間窓の結果です。
右側のグラフは、周波数軸を拡大しています。

レクタンギュラ(重み付け無し)では、1本ピークが立っています。990 Hz、1010 Hzにパワーが広がっていません。
ハニングとハミングはほぼ同じ、ブラックマンハリスでは、ハニング、ハミングに比べ、広がっています。
フラットトップでは、横方向に大きく広がっています。
中心周波数にピッタリあっているので、ピーク値の減少はありません。

  • 図1
    図1

図2は、1002.5 Hzのサイン波に対する処理結果です。FFT解析の中心周波数とずれています。周波数分解能が10 Hzなので、周波数が分解能の1/4ずれています。
時間波形の切り出しの先頭と終端が不連続になります。
上から、レクタンギュラ、ハニング、ハミング、ブラックマンハリス、フラットトップの時間窓の結果です。

本来は、0 dBであるピーク値が減少していることが分かります。レクタンギュラでは、特に裾の広がりが大きく現れています。これでは、他の周波数成分が埋まって、隠れてしまいます。
ハニングでは、スペクトルの広がりは少し広いですが裾のレベルが小さくなっています。
ハミングではスペクトルの広がりは細いですが、裾のレベルが大きいです。
ブラックマンハリスでは、ハニングとハミングの中間ぐらいです。
フラットトップでは、横方向の広がりが大きくなっていますが、ピーク値がほとんど減少していません。

  • 図2
    図2

図4は、1005 Hzのサイン波に対する処理結果です。周波数が分解能の10 Hzの半分ずれています。波形の切り出しのタイミングによりますが、図3のように不連続がはっきりします。

  • 図3
    図3

1002.5 Hzにくらべてピーク値の減少がさらに大きくなっています。
上から、レクタンギュラ、ハニング、ハミング、ブラックマンハリス、フラットトップの時間窓の結果です。
ピーク値の減少が目立っていますが、フラットトップでは、減少が少ないのがわかります。

  • 図4
    図4

まとめ

レクタンギュラ:

重み付けしないので、もともとの波形の初めと終わりがゼロであるような単発信号の場合に使用します。ハンマリング試験、コネクタ勘合音等打撃試験では必須の窓です。

ハニング:

ハミング、ブラックマンハリスに比べて、広がり、裾の大きさのバランスが取れています。
一般的な騒音、振動測定に適しています。

フラットトップ:

信号の周波数がFFTの分解能の中心周波数からずれていても、ピークを正確に見たいときに使います。単一周波数信号での信号校正、高調波ひずみ率の測定等、ピーク値を正確に調べたいときに使います。

(2020年12月16日発行メールマガジンより抜粋)