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『回転トラッキング分析‐回転速度の上昇速度と、次数分析データの取り込みの関係』

「回転トラッキング分析を行うとき、低回転速度域で回転速度毎(50 回転おき等)のデータの取りこぼしが発生してしまう。対応策はありますか。」と問い合わせがあります。

今回は、低回転速度域で取りこぼしが発生する原因について考えてみます。
周波数分析での回転トラッキング(定幅トラッキング)でも発生しますが、次数分析での回転トラッキング(定比トラッキング)では、回転速度が大きく影響します。次数分析とトラッキング解析については、下記(リンク)の技術レポートを参照してください。

次数比分析とトラッキング解析

次数分析は、1 回転の間に何回の変化があったかを分析しています。
(* 周波数分析は、1s 間に何回の変化があったかを分析しています。単位は Hz)
1 回転に 1 回繰り返す現象の大きさが、回転 1 次の次数成分の大きさとなります。
ギヤの噛み合いで発生する振動で、1 回転に 49 回の振動が発生するなら 49 次の成分、4 気筒エンジンの燃焼(膨張)による振動なら、2 回転に 1 回なので、0.5 次の成分ということになります。

FFT で 25 次までの次数成分を調べるとすると、周波数分析と同様に、2 倍の次数の 50 次を超えるサンプル数(一回転あたり)が必要になります。
小野測器の FFT 解析では、2.56 倍のサンプルで取り込んでいるので、1 回転あたりのサンプル数は、25 x 2.56 => 64 サンプルとなります。
1 回転で 64 サンプルなら、1024 点の FFT をするには、1024 ÷ 64 = 16
つまり 16 回転分のデータが必要になります。
(* 周波数分析 25 Hz レンジとすると、2.56 倍が 64 Hz、1 s で 64 サンプル、1024 点 FFT
なら、16 s 分のデータになります。)

16 回転分のデータを取り込むのに必要な時間は、そのときの回転速度によって変化します。
120 r/min(120 ÷ 60 で 1 s に 2 回転です)のときは、16 / (120/60) = 8 s もの長時間になります。1200 r/min なら短時間の 0.8 s になります。
このように、回転速度によって、1024 点のデータ取り込みに必要な時間長が変わります。低回転速度ほど、長い時間が必要になります。回転速度の上昇速度が速いと、16 回転する間に回転速度は上がってしまっているので 16 回転分の平均回転速度は、上にずれてしまいます。50 r/min ごとに取り込むつもりが、100 r/min ごとになってしまいます。

このように、一定の速度で回転速度が上昇しているとき、低域ではデータを取り込む間に、回転速度が上がってしまい、細かい回転間隔でトラッキングすることができません。
なるべく短時間で、トラッキングデータを得る理想は、低い回転速度では上昇速度を遅くして、高い回転では速くすることです。
下の図は、最大分析次数が 25 次、サンプル点数 1024 点のときの回転速度と時間長のグラフです。最大分析次数 25 次だと 1 回転あたり 64 サンプル必要で、 1024 点 FFT では 16 回転分のデータが必要となります。

時間 = (サンプル点数/1 回転あたりのサンプル数)/回転速度 (Hz) で
y = a/X (a> 0) の直角双曲線になります。
y = (1024/64) / (回転速度/60)

  • 『回転トラッキング分析‐回転速度の上昇速度と、次数分析データの取り込みの関係』

(2018年11月20日発行メールマガジンより抜粋)