当計測コラムでは、当社お客様相談室によくお問い合わせいただくご質問をとりあげ、回答内容をご紹介しています。
プリアンプ内蔵型の加速度検出器を使用する際には、加速度検出器内のアンプに電源を供給する必要があります。当社のプリアンプ内蔵型加速度検出器はCCLD(定電流駆動、Constant Current Line Drive)と呼ばれる電源供給の仕組みを使用しています。メーカーによってはIEPE、IPCといった名称で呼んでいる場合もありますが同じ仕組みです。
当社のFFTアナライザやデータステーション等はCCLD方式の電源供給機能を搭載しているためプリアンプ内蔵型加速度検出器を直接接続できますが、オシロスコープやA/D変換ボードなどに接続する場合は、電源供給機能をもったセンサアンプ等を使用する必要があります。
センサアンプには、センサからの信号をそのまま、もしくは単に増幅して出力するほかに、実効値と呼ばれる信号に変換して出力する機能をそなえたものがあります。そういった製品ではそのまま、もしくは単に増幅しての出力をAC出力、実効値に変換された出力をDC出力と呼んでいます。
CCLD対応センサアンプ
当社のCCLD(定電流駆動)対応センサアンプとしては、2ch センサアンプSR-2210、3chセンサアンプPS-1300があります。
2ch センサアンプSR-2210は、CCLD方式でのセンサへの電源供給機能と、信号の増幅機能を備えたセンサアンプです。マイクロホンを接続し音を測定する際に使用する周波数補正機能(A/C/FLAT)も備えていますが、加速度検出器を接続する際はFLATで使用します。実効値出力(DC出力)機能はありません。
3chセンサアンプPS-1300も、CCLD方式でのセンサへの電源供給機能と、信号の増幅機能を備えたセンサアンプです。また、積分機能、ハイパスフィルタ・ローパスフィルタ機能も備えています。PS-1300に、PS-0131 実効値出力機能オプションを追加すると、通常の信号出力(AC出力)のかわりに、実効値と呼ばれる信号を出力(DC出力)することができます。加速度信号そのものの時間波形を記録する場合や、それを周波数解析する場合は、AC 出力を使用します。周波数分析はせず、振動の大きさだけを記録する場合は実効値出力(DC 出力)が使われます。
携帯電話のバイブレータの振動
携帯電話に加速度検出器を貼り付けて測定したバイブレータ振動加速度の時間軸波形とそのパワースペクトルを図1に示します。時間軸波形の片振幅は 13.37 m/s2 、パワースペクトルのオーバーオール(実効値)は8.68 m/s2 でした。パワースペクトルをみると、振動の基本周波数は200 Hz でその振幅(実効値)は7.64 m/s2 でした。また、2 次以上の高調波成分も観測されています。
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図 1 携帯電話バイブレータ振動加速度の時間軸波形 (上段)とパワースペクトル(下段)
センサアンプのAC 出力には図1 上段に示した時間軸波形が出力されます。加速度値と出力電圧の関係は、加速度検出器の感度[ mV/( m/s2) ] とアンプのゲイン(増幅率)で決まります。
携帯電話バイブレータ振動のAC 出力・DC 出力
携帯電話バイブレータ振動の加速度信号(AC 出力)と、その信号からセンサアンプPS-1300の実効値出力機能と同等の処理をおこなって求めた実効値信号(DC 出力)の波形を図2に示します。バイブレータは3 秒間振動させ、そのあと停止しています。停止約1 秒後の振動は携帯電話のボタン操作による振動ですが、継続時間が短いため実効値信号(DC 出力)には影響していません。
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図2携帯電話バイブレータ振動加速度のAC 出力(青)とDC 出力(赤)
PS-1300 実効値出力機能オプションでは時定数1.18 秒の実効値回路を使って実効値を求めているため、振動が始まってもすぐには出力が大きくならず、数秒かかって 8.12 m/s2 まで上昇しています。振動停止後はゆるやかにさがっていきます。
加速度信号(AC 出力)の最大値は15.25 m/s2 です。実効値は時間波形の二乗平均値ですので、実効値は必ず最大値と等しいかそれより小さくなります。正弦波であれば実効値は最大値の√2 分の1 (0.707 倍)で、一般的な振動であれば最大値の数分の1 になり、衝撃的な振動だとさらに小さくなります。
振動の加速度信号そのものは必要なく、振動の大きさの変動だけを計測すればよい場合は、センサアンプ等の実効値出力(DC 出力)を記録します。DC 出力の値を1 秒間に数回程度の頻度で記録すればよく、大きさの変動が少なければさらに少ない頻度ですみます。ただし、継続時間が短い衝撃的な振動が発生しても実効値出力(DC 出力)には反映されません。衝撃的な振動も検知するために加速度信号の最大値も監視する場合には、AC 出力を十分速いサンプリング周波数で記録する必要があります。
まとめ
加速度信号そのものの時間波形を記録する場合や、それを周波数解析する場合は、FFT アナライザやデータステーション、データロガーなど、十分速いサンプリング周波数で信号を取り込むことができる機器を使用する必要があります。単に振動の大きさだけ記録する場合、実効値信号(DC 出力)を備えたセンサアンプ等があれば、1 秒間に数回かそれ以下の頻度でデータを取り込めばよく、比較的安価な機器で振動を記録することができます。
このような目的で、弊社の3ch センサアンプPS-1300 をご使用いただくケースも多いため、
今回はセンサアンプのAC 出力とDC 出力の違いをご紹介しました。
(2018年4月24日発行メールマガジンより抜粋)