当計測コラムでは、当社お客様相談室によくお問い合わせいただくご質問をとりあげ、回答内容をご紹介しています。
音の測定をおこなう際の設定に"周波数重み付け特性(A/C/Z)"という項目があります。
FFT アナライザやデータステーションなどの解析装置には、"周波数重み付け特性(A/C/Z)"に関する設定項目が2 か所にあります。1 つは入力設定にある"アナログフィルター"で、もう1 つは解析設定にある"周波数重み付け"です。
今回は、解析装置によるリアルタイムオクターブ解析(RTA 解析)や、FFT 解析における処理
の流れをご紹介し、これら2 つの設定が解析結果にどう影響するかをご紹介します。
"周波数重み付け特性(A/C/Z)"に関する2 つの設定項目について
DS-3000 音響振動解析ソフトウェアと、CF-9200/9400 FFT アナライザについて、"アナログフィルター"、"周波数重み付け" の設定方法をご紹介します。
- DS-3000 音響振動解析ソフトウェアの場合
" アナログフィルター"の設定は、入出力設定メニュー ⇋ 入力設定コマンドをクリックすると表示される入力条件設定ダイアログ内にあり、入力チャンネルごとにA/C/Z から選択できます。
" 周波数重み付け" の設定は、解析設定メニュー⇋周波数重み付けにあり、グラフごとにA/C/Z 等から選択できます。ただし、Schedule/Schedule 3D グラフでは全グラフ一括でしか設定できません。
なお、オフライン解析モードの場合は、" アナログフィルター"の設定は変更できません。
レコーディングモードには" 周波数重み付け"の設定はありません。 - CF-9200/9400 FFT アナライザの場合
" アナログフィルター"の設定は、ソフトキーのHome ⇋ Input ⇋ Input Cond にあり、入力チャンネルごとにA/C/Z から選択できます。
" 周波数重み付け"の設定は、ソフトキーのHome ⇋ Analysis ⇋ Freq Calc ⇋ Weight あり、グラフごとにA/C/Z 等から選択できます。ただし、Schedule/Schedule 3D グラフでは全グラフ一括でしか設定できません。
RTA 解析をおこなう場合の処理の流れ
RTA 解析をおこなう場合、入力された信号をそのまま実効値検波、対数演算をおこなった
ALLPASS 値と、オクターブバンドごとのバンドパスフィルタを通してから実効値検波・対数演算をおこなった各バンドの出力値が得られます。1/1 オクターブバンド解析をおこなう場合、周波数レンジがHIGH であれば、31.5Hz、63Hz、125Hz、250Hz、500Hz、1kHz、2kHz、4kHz、8kHz、16kHz の計10 バンドの出力が得られます。1/3 オクターブバンド解析ですと、25Hz、31.5Hz、40Hz、…、12.5kHz、16kHz、20kHz の計30 バンドの出力が得られます。
図 1 にマイクロホンを解析装置に接続しRTA 解析をおこなう場合の処理の流れを示します。
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図 1 RTA 解析をおこなう場合の処理の流れ
マイクロホンからの信号は、アナログフィルターを通り、そのまま実効値検波動特性回路、対数演算回路を経て、グラフにALLPASS 値として表示されます。また、各バンドパスフィルタ、実効値検波動特性回路、対数演算回路を経た結果が各バンドの出力値として表示されます。各バンドの出力値をパワー合計した値がOVERALL 値です。
" アナログフィルター"をA 特性またはC 特性に設定した場合は、 " 周波数重み付け" はかならずZ(FLAT)に設定します。アナログフィルターでA 特性またはC 特性がかかっていますので、ALLPASS 値、各バンド出力値、OVERALL 値ともA 特性/C 特性がかかった値です。
" アナログフィルター"をZ(FLAT)特性に設定して解析し、" 周波数重み付け"をA 特性等に設定すると、各バンド出力値はA 特性をかけた値になります。また、OVERALL 値もA 特性がかかった各バンド出力値を合計した値ですのでA 特性がかかった値になります。ALLPASS 値は周波数帯域を制限せずに実効値検波・対数演算をおこなった値でA 特性補正をかけることができませんので、Z(FLAT) 特性の値がそのまま表示されます。
図2 に3 通りの解析結果の一例を示します。図2-1 は" アナログフィルター"、" 周波数重み付け"ともZ(FLAT) 特性に設定した結果です。図2-2 は" アナログフィルター"をA 特性に設定した結果で、ALLPASS 値、各バンド出力、OVERALL 値ともA 特性がかかった値が得られています。図2-3 は、" 周波数重み付け" をA 特性に設定した結果で、ALLPASS 値にはA 特性がかかっていないためALLPASS 値とOVERALL 値が一致していません。
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図2-1 アナログフィルター: Z(FLAT)、周波数重み付け: Z(FLAT)での解析結果
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図2-2 アナログフィルター: A、周波数重み付け: Z(FLAT)での解析結果
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図2-3 アナログフィルター: Z(FLAT)、周波数重み付け: A での解析結果
FFT 解析をおこなう場合の処理の流れ
図3 にマイクロホンを解析装置に接続しFFT 解析をおこない、パワースペクトルを求める
処理の流れを示します。
"アナログフィルター" にA 特性を指定すると、時間軸波形に対してA 特性フィルタがかけられ、パワースペクトルはA 特性がかかったものになります。なおこの場合、"周波数重み付け" はつねにZ(FLAT) を指定します。
"アナログフィルター" にZ(FLAT) を指定した場合、"周波数重み付け" でかけたい特性を指定します。表示しているグラフごとに別々の "周波数重み付け" を指定できるソフトウェアであれば、Z(FLAT) 特性と、A 特性のパワースペクトルを同時に表示することができます。
"アナログフィルター"にA 特性を指定した場合と、"周波数重み付け" にA 特性を指定した場合に得られるパワースペクトルは、ほぼ一致しますので、特別事情がない限りはどちらを使用してもかまいません。
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図3 解析をおこなう場合の処理の流れ
騒音計を使用した解析について
音の解析をおこなう際、マイクロホンの代わりに騒音計のAC 出力を解析装置に接続して解析をおこなうことがあります。
騒音計のAC 出力にZ(FLAT) 特性の信号が出力される場合、解析装置の"アナログフィルター" か "周波数重み付け" のどちらか一方をA 特性等に設定することで、上述のような解析をおこなうことができます。
騒音計のAC 出力にA 特性の信号が出力される場合、解析装置の "アナログフィルター"、"周波数重み付け" は常にZ(FLAT)特性に設定します。入力された信号にA 特性がかかっていますので、得られた解析結果はA 特性のものです。
まとめ
今回は、解析装置にある "周波数重み付け特性(A/C/Z)" に関する2 つの設定項目と、それらを設定した場合にどのような解析結果が得られるかをご紹介しました。
A 特性等をかけた解析をおこなう場合のほとんどのケースでは、"アナログフィルター"、"周波数重み付け" のどちらか一方だけをA 特性等に設定すればよいです。
ただし、リアルタイムオクターブ解析(RTA 解析) において "周波数重み付け" を設定した場合は、A 特性のALLPASS 値を得ることができないので注意が必要です。
(2017年4月25日発行メールマガジンより抜粋)