今回は、騒音計を使った騒音測定、特に衝撃性の騒音測定に関しての話です。
音または騒音の測定によく使われる計測器は、騒音計(サウンドレベルメータ)ですが、最近の騒音計には、変動する音や衝撃性の音などに対応した計測諸量を求める機能があり、ここでは、おもに、衝撃性の音に関する計測量について説明します。
図1が、最近の騒音計(JIS の正式名称は、サウンドレベルメータですが、ここでは騒音計の名称を使います)のレベル化処理手順です。
この図にありますように、騒音計の基本的な機能は、センサーであるマイクロホンで取得した瞬時音圧信号(AC 信号)を幾つかの方法でレベル化(DC 信号)してそれを表示することです。AC 信号をレベル値(DC 信号)に変換する手法は、下記に述べる3種類あります。
ここで、用語の説明ですが、以下に出てくる「サウンドレベル」とは、周波数重み(A,C、 Z)がかかった音圧レベルを指しています。すなわち、図1 にあるように、何らかの周波数重みを付けたAC 信号をレベル化したものです。
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図1 騒音計のレベル化処理手順
時間重み付きサウンドレベル
これは、瞬時の音圧信号(AC 信号)を2乗しそれをある時間重みで平均(2 乗平均)してdB変換したものです。平均する方法は、指数化平均(1次のローパスフィルタに相当)で、その時定数は、時間重みF(速い、0.125s)とS(遅い、1s)が選択できます。この処理は、連続的な処理(ディジタル処理ですので、A/D 変換のサンプリング周期ごとに)でサウンドレベル値の時間変動が得られ、騒音計では、DC 出力(アナログ出力)となります。この方法での衝撃性騒音の評価量としては、サウンドレベルの最大値があります。
図2のように、通常はある測定時間内でのサウンドレベルが最大となる値が、時間重み付きサウンドレベルの最大値Lmaxとなります。
時間重みはなるべく変化に対応するように F(速い)を使用します。なお、旧規格では、インパルスと呼ばれる時間重みもあったが、最近は使われなくなりました。
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図2 サウンドレベルの最大値Lmax
時間平均サウンドレベル(等価サウンドレベル)
これは、瞬時の音圧信号(AC 信号)を2乗しそれを計測時間T で時間平均(2 乗平均)してdB 変換したものです。上記(1)との違いは、「指数平均」でなく「等重みの平均」で、また時間重みの影響を受けなくて、かつ 1 つの数値だけが測定時間T の代表値として残ります。
物理的にはエネルギー平均値で、騒音測定と言えば、通常これを求めることです。
例えば、周波数重み A とした A特性時間平均サウンドレベルは、下記の式で算出されます。
pA(t) : A特性瞬時音圧
p0 : 基準音圧 20μPa
T : 積分時間 (= t2 - t1)
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図3 変動する時間重み付きサウンドレベルと時間平均サウンドレベル
この方法での衝撃性騒音の評価量としては、音響暴露レベルLE があります。
音響暴露レベルは、測定時間 T で平均せずにその測定時間でのエネルギー積分値をレベ
ル化したものです。例えば、A特性音響暴露レベルLAE は、下記の式で算出されます。
pA(t): A特性瞬時音圧
p0: 基準音圧 20μPa
T0: 1s
また、式(1)と式(2)から、時間平均サウンドレベルとの関係は、式(3)となります。
LAE = LAeq + 10 log(T )
音響暴露レベルは、ある測定時間での音響エネルギーの積算値が1s間での定常音と考えると、どれくらいのレベルになるかを表していて、電車の通過音やくい打ち音などの間欠的に発生する騒音の評価によく使われています。
ピークサウンドレベル
これは、上記(1)と(2)の方式にあるような 2 乗平均計算は行わず、ある時間内での瞬時音圧時間波形(AC信号)の絶対値の最大値をレベル化したもので、下記の式で算出されます。(p1は、図5)
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図5 ピークサウンドレベルの求め方
測定方法から理解できるように、時間重みの影響を受けずに衝撃性の音を最も大きめに評価できます。また、周波数重みは、衝撃的で大きな音を評価するためにA特性は使わず、C特性をよく使います。C特性ピークサウンドレベルは、欧州のCEマーキングやJIS Z 8737シリーズ「作業位置及び他の指定位置における機械騒音の放射音圧レベルの測定方法」などに採用されています。
3方式のまとめは、表1のようになります。
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算出方式 |
衝撃性騒音の評価 |
特徴 |
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時間重み付き |
サウンドレベルの最大値 |
時間重みの影響を受ける |
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時間平均 (積分) |
音響暴露レベル |
聴覚が暴露する音のエネルギー量 |
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ピーク検出 |
ピークサウンドレベル |
最も大きくなる評価量 |
表 1 3方式の比較
図6は、小野測器の騒音計LA-3560で、ある単発的な騒音を2秒間測定した結果です。 (比較し易いように、周波数重みはすべてA特性としています。)
これからわかるように、通常上記の評価値の大小関係は、下記のようになります。
LAeq << LAE << LAFmax << LApeak
(注意1)音響暴露レベルは、測定時間T に依存します。
(注意2)時間重み付きサウンドレベルの最大値は、時間重みに依存します。
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図6 衝撃性の音の測定結果(例)
JIS Z 8737-1の附属書A(参考)によれば、騒音の衝撃性の判定指針としては、C特性ピークサウンドレベルとC特性時間平均サウンドレベルとの差 (L Cpeak - L Ceq ) やC特性ピークサウンドレベルとC特性時間重みS付きサウンドレベルの最大値との差 (L Cpeak - L CSmax )などが挙げられています。
最後に、まとめです。
- 最近の JIS 規格では、衝撃性騒音の評価量としては、瞬時音圧信号(AC信号)をレベル化する方法によって、3種類あります。
- 1つめは、測定時間T における時間重み付きサウンドレベルの最大値です。
- 2つめは、測定時間T におけるエネルギー積分値である音響暴露レベルです。
- 3 つめは、測定時間T における瞬時音圧絶対値の最大値であるピークサウンドレベルです。
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【参考】
小野測器技術レポート「騒音計とは」→
JIS C 1509-1:2005 サウンドレベルメータ(騒音計)
JIS Z 8737-1作業位置及び他の指定位置における機械騒音の放射音圧レベルの測定方法(反射面上の準自由音場における実用測定方法)
(2017年3月22日発行メールマガジンより抜粋)