当計測コラムでは、当社お客様相談室によくお問い合わせいただくご質問をとりあげ、回答内容をご紹介しています。
サウンドレベルメーター(騒音計)や FFT アナライザで音の測定をおこなう際の設定に"周波数重み付け特性(A/C/Z)"という項目があります。今回は、騒音計に関する周波数重み付け特性のご質問を Q&A 形式でまとめました。
周波数重み付け特性A とは何か
A 特性は、JIS C1509 で規定された、騒音のうるささ(騒音レベル)を測定する際に使用する周波数重み付け特性です。
計測コラム 184 号でご紹介したとおり、純音の等ラウドネス曲線(旧規格)の小さい音のラウドネス曲線を近似して作られました。大きな音のラウドネス曲線を近似して C 特性も
作られましたが、その後の研究で、C 特性は騒音のうるささを表すには適しているとは言えず、騒音のうるささを表す場合には音の大きさに関係なく A 特性曲線を使うほうが良いことが明らかになりました。そのため、周波数重み付け特性 A は、騒音のうるささ(騒音
レベル)を測定する際に広くつかわれています。
周波数重み付け特性A と Z のどちらを使うべきか
その音を人が聞いた際にどのくらいの大きさに聞こえるかを測定する際には、一般に A 特性をつかいます。一般的な使い分けは次の通りです。
周波数重み付け特性 A を使う場合
-
工場・建物・建設現場などの敷地境界での騒音測定
-
道路・鉄道・航空機などの騒音測定
-
作業環境での騒音測定
-
機械装置などの作動音の大きさを人がどのように感じるか評価する場合
-
測定規格やガイドラインなどで A 特性を使用して測定するよう定められている場合
周波数重み付け特性 Z(FLAT)を使う場合
-
音の生信号を録音し、それをスピーカやヘッドホンで再生し、人が聞いて評価する場合。人の耳自体が A 特性に近い聴覚特性を持っているため、A 特性をかけて録音してしまうとその音自体を直接聞いた場合と比べ聞こえ方が異なってしまうため、人が耳で聞くためのデータは Z 特性で録音します。
-
測定結果をもとにラウドネス、NC 値などを算出する場合。ラウドネスや NC 値の計算過程において人の聴覚特性が考慮されるため、元データの測定には Z(FLAT)特性を使用します。
-
機械装置などの作動音を測定し、装置の物理的な特性、経年変化等を把握する場合や、故障予測等をおこなう場合。人の聴覚特性とは関係ない測定であるため、A 特性は使用しません。
騒音計のAC 出力には A 特性がかかっているのか
当社騒音計の場合、騒音計本体を A 特性 / C 特性に設定している場合、A 特性 / C 特性がかかった信号が、アナログ出力(AC)に出力されます。
騒音計を DUAL モード、QUAD モード(2~4 通りの条件の測定を同時におこなうモード)に設定している場合、MAIN 側条件で指定した周波数重み付け特性がかかった信号がアナログ出力(AC)に出力されます。
騒音計をリアルタイムオクターブ(RTA)モードに設定している場合、AP1(オールパス 1)と AP2(オールパス 2)に別々の周波数重み付け特性をかけることができます。この場合、 AP1 側で指定した周波数重み付け特性がかかった信号がアナログ出力(AC)に出力されます。
騒音計を DUAL モード、QUAD モード(2~4 通りの条件の測定を同時におこなうモード)に設定している場合、MAIN 側条件で指定した周波数重み付け特性がかかった信号がアナログ出力(AC)に出力されます。
騒音計をリアルタイムオクターブ(RTA)モードに設定している場合、AP1(オールパス 1)と AP2(オールパス 2)に別々の周波数重み付け特性をかけることができます。この場合、 AP1 側で指定した周波数重み付け特性がかかった信号がアナログ出力(AC)に出力されます。
騒音計のAC-Z 出力とは何か
騒音計のアナログ出力信号を FFT アナライザ等で分析する場合、A 特性 / C 特性がかかっていない信号を FFT アナライザ等に入力したい場合があります。AC-Z 出力とは騒音計本体の周波数重み付け特性(A/C/Z)の設定に関係なく、つねに Z 特性の(A 特性 / C 特性がかかっていない)信号を出力する機能です。当社騒音計のうちいくつかの製品は AC-Z 出力をそなえています。
当社の LA-1400/4400 シリーズの場合、アナログ出力端子は 1 端子あり、その端子には AC出力、AC-Z 出力、DC 出力のうちいずれか1つを選択して出力することができます。設定はメニューの I/O ⇒ AC/DC でおこないます。
-
図1 LA-1400/4400 のアナログ出力設定画面
当社の LA-3000 シリーズの場合、アナログ出力端子は 2 端子あり、そのうち 1 端子(AC)は AC 出力に固定です。もう 1 つの端子(AC/DC)には AC-Z 出力、DC 出力、Through のうちいずれか1つを選択して出力することができます。
設定はメニューの I/F(Interface)⇒ AC/DC-Out でおこないます。
-
図2 LA-3000 シリーズのアナログ出力設定画面
サウンドレコーディング機能で保存されるWAV ファイルの周波数重み付け特性は?
騒音計のサウンドレコーディング機能で保存されるWAVファイルに格納されている信号が、 A 特性 / C 特性がかかったものになるかどうかは、騒音計製品に依存します。
当社 の LA-5570/5560/2560 の場合、WAV ファイルに格納される信号には、騒音計本体で設定している周波数重み付け特性がかかります。A 特性に設定した状態でレコーディングした WAV ファイルには A 特性がかかった信号が記録されます。A 特性 / C 特性がかかっていない信号が必要な場合は、騒音計を FLAT(Z)特性に設定してレコーディングをおこな ってください。
当社の LA-3570/3560/3560 の場合、WAV ファイルに格納される信号には、騒音計本体の設定に関係なく Z 特性の(A 特性 / C 特性がかかっていない)信号が記録されます。
Lp/Leq ボタンを押して表示値を変更すると、周波数重み付け特性(A/C/Z)も変わってしまう
騒音計の A/C/Z ボタンなどで周波数重み付け特性を変更した後に、Lp/Leq ボタンを押してLeq(時間平均サウンドレベル)、Lmax(最大値)などに表示を切り替えると、周波数重み付け特性が変わってしまうことがあります。
これは、Leq(時間平均サウンドレベル)、Lmax(最大値)などは騒音計の Start ボタンを押して演算をおこなったときにだけ演算されるためで、Lp/Leq ボタンを押すと直前におこな った演算結果が表示されるためです。
たとえば Z 特性を指定して演算をおこなった後、A/C/Z ボタンで A 特性に切り替えると LA値が表示されますが、そのあとに Lp/Leq ボタンを押すと、LZeq など Z 特性での演算値が表示されてしまいます。これは直前で Z 特性を指定して演算をおこなっていて、その結果が表示されているためです。
騒音計内部では A 特性の設定が保持されていますので、そのまま Start ボタンで演算を開始してください。表示は LAeq に切り替わり、A 特性での演算がおこなわれます。
(2017年2月21日発行メールマガジンより抜粋)
まとめ
今回は、騒音計に関する周波数重み付け特性のご質問を Q&A 形式でご紹介しました。
次回も引き続き周波数重み付け特性をとりあげます。