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工学単位(EU, Engineering Unit)と単位校正 - 第7回 マイクロホン・騒音計の場合 その3 -

音とは、空気等を伝わる波の1種で、その大きさは圧力の変動(音圧)として観測されます。音圧の単位はパスカル(Pa)ですが、通常音の大きさを表すには音圧をレベル化した音圧レベルという値が使われます。音圧レベルの単位はデシベル(dB)です。

音をFFTアナライザ等の解析装置で解析する場合、センサにはマイクロホンや騒音計が使われます。この際、解析結果が正しい音圧レベルの値で表示されるように解析装置を校正します。

計測用マイクロホンを使用する場合には、音響校正器を使用してマイクロホンと解析装置を校正します。音響校正器はある定まった音圧(114 dBや94 dBなど)を発生させる装置で、計測用マイクロホンの先端を差し込んで使用します。

今回は音響校正器を使用して計測用マイクロホンと解析装置を校正する手順をご紹介します。

計測用マイクロホン/プリアンプと解析装置の接続

計測用マイクロホンとプリアンプが CCLD(定電流駆動)と呼ばれる電源供給方式に対応している場合、CCLD に対応した解析装置であればマイクロホン/プリアンプを解析装置に直接接続して使用できます。接続例を図 1 に示します。計測用マイクロホンとプリアンプの電源供給方式が CCLD 以外の場合や、解析装置が CCLD に対応していない場合は別途マイクロホンアンプなどが必要です。

  • 図 1 計測用マイクロホンと解析装置の接続例
    図 1 計測用マイクロホンと解析装置の接続例

計測用マイクロホンと解析装置の校正手順

計測用マイクロホンと解析装置の校正する手順は次の通りです。解析装置の操作方法の詳細は、解析装置の取扱説明書等を参照ください。また、音響校正器の操作についても、音響校正器の取扱説明書をご確認ください。

  1. 付属の試験成績書や本体の刻印で音響校正器の発生音圧レベルを確認します。発生音圧レベルを大気圧補正が必要な場合は大気圧を測定し発生音圧レベルを補正します。
  2. マイクロホンを差し込んでいない状態で音響校正器の電源を入れ動作を確認します。確認後は電源を切ります。
  3. 解析装置を設定します。
    ・ 周波数レンジは実際に測定する際と同じレンジに設定します。ただし、周波数レンジが内部校正信号の周波数(通常は 1 kHz)と同程度かそれ以下の場合は、その 2 倍(2 kHz)以上のレンジに設定します。
    ・アナログフィルタは Z(FLAT)もしくは C に設定します。
    ・平均化時間は 20 秒に設定します。
  4. 解析装置の単位校正設定で、単位名を“Pa”、EU タイプは“V/EU”、 0 dB 基準値は“2E-5”(20μPa)に設定します。0 dB 基準値が設定できない解析装置では、単位名は空白もしくは“spl”に設定します。
  5. 音響校正器にマイクロホンをゆっくり差し込みます。このときマイクロホンは正確に奥まで挿入してください。校正器内部の圧力が安定するまで30 秒以上待ちます。
  6. 音響校正器の電源を ON にします。
  7. 解析装置の電圧レンジを調整します。入力オーバーが発生しない範囲でなるべく小さい電圧レンジに設定してください。
  8. 音響校正器の出力が安定してから解析装置のスタートボタンを押し、20 秒間の平均化をおこないます。なお、音響校正器は一定時間操作しないと自動停止するものがありますので、自動停止した場合は再度実行してください。
  9. サーチカーソルをオーバーオール(リアルタイムオクターブ分析器の場合はオールパス)に合わせ、その値が音響校正器の発生音圧レベルになるように単位校正を実行します。
  10. 再度解析装置のスタートボタンを押し、オーバーオール値(またはオールパス値)が発生音圧レベルと同じ値になるか確認します。
  11. 解析装置の単位校正設定で EU 値(V/EU 値)を確認し、記録します。また、マイ
    クロホン感度から算出した EU 値(後述)とほぼ一致することを確認します。
  12. 音響校正器の電源をきり、マイクロホンを取り外します。
  13. 解析装置の周波数レンジ、アナログフィルタ、平均化時間、電圧レンジなどを元の設定に戻します。

マイクロホン感度からEU 値を算出する方法(0 dB 基準値を20 μPa に設定した場合)

マイクロホンおよびプリアンプの試験成績書等でマイクロホン感度およびプリアンプ挿入損失を確認し、総合感度を算出します。試験成績書等がない場合はカタログ仕様の値を使用します。

表 1 総合感度の計算例 

項目 データシート 説明
MI-1235
マイクロホン感度
-28.2dB re 1V/Pa 1 Pa のとき、-28.2 dB (約 0.0389 V)が出力される
MI-3111
プリアンプ挿入損失 
-1.90dB 0 dB(1 V)の入力に対し、-1.90 dB(0.804 V)
が出力される
総合感度 -30.10dB re 1V/Pa マイクロホン感度と挿入損失の和

EU 値(V/EU 値)は次の式で計算できます。 

表 1 に示したマイクロホン、プリアンプの EU 値は 0.031261 になります。 

EUタイプをEU/Vに設定した場合、値はV/EU値の逆数になり上記の例ですと31.989 になります。 

マイクロホン感度からEU 値を算出する方法(0 dB 基準値が設定できない場合)

マイクロホンおよびプリアンプの試験成績書等でマイクロホン感度およびプリアンプ挿入損失を確認し、総合感度を算出します。試験成績書等がない場合はカタログ仕様の値を使用します。

表 2 総合感度の計算例

項目 データシート 説明

MI-1235
マイクロホン感度

-28.2dB re 1V/Pa 1 Pa のとき、-28.2 dB (約 0.0389 V)が出力される
MI-3111
プリアンプ挿入損失 
-1.90dB 0 dB(1 V)の入力に対し、-1.90 dB(0.804 V)
が出力される
総合感度 -30.10dB re 1V/Pa マイクロホン感度と挿入損失の和

EU 値(V/EU 値)は次の式で計算できます。 

表 2 に示したマイクロホン、プリアンプの EU 値は 6.2522×10-7になります。

EU タイプを EU/V に設定した場合、値は V/EU 値の逆数になり上記の例ですと 1.5994×106になります。

(2014年10月23日発行メールマガジンより抜粋)

まとめ

今回は、計測用マイクロホンを FFT アナライザ等の解析装置に接続し解析する場合に、音響校正器を使用して単位校正をおこなう手順をご紹介しました。

次回は音響校正器を使用した騒音計と解析装置の校正方法をご紹介します。