本文にスキップする

Select your region & language

Global

Region

工学単位( EU, Engineering Unit)と単位校正 - 第5回 マイクロホン・騒音計の場合 その1-

音とは、空気等を伝わる波の1種で、その大きさは圧力の変動(音圧)として観測されます。音圧の単位はパスカル(Pa)ですが、通常音の大きさを表すには音圧をレベル化した音圧レベルという値が使われます。音圧レベルの単位はデシベル(dB)です。

音をFFTアナライザ等の解析装置で解析する場合、センサにはマイクロホンや騒音計が使われます。

騒音計(サウンドレベルメーター)は音圧レベルを測定するための計測器ですが、その構造はマイクロホン、アンプ、音圧レベルの計算・表示部を一体にしたものです。AC出力端子をそなえている騒音計であれば、FFTアナライザ等の解析装置に接続して音の解析をおこなうことができます。

今回と次回は、騒音計をFFTアナライザ等の解析装置に接続して解析する場合に、騒音計の内部校正信号を使用して単位校正をおこなう方法をご紹介します。

なお、今回は当社DS-2000シリーズのDS-0221 FFT解析ソフトウェアとDS-0250スループットディスクソフトウェアの校正手順を紹介しています。他製品の手順につきましては次回にご紹介します。

音圧のデシベル表示

空気中を伝わる音の音圧レベルは、次の式で定義されます。

  • 音圧のデシベル表示_No.1

(dB)

p : 測定された音圧(瞬時音圧の実効値)
p0 : 基準音圧 (20 μPa)

騒音計と解析装置の接続

騒音計と解析装置の接続例を図1に示します。

  • 図1 騒音計と解析装置の接続例
    図1 騒音計と解析装置の接続例

騒音計にAC(交流)出力端子と、DC(直流)出力端子がある場合は、AC出力端子の信号を解析装置に接続します。出力端子に出力する信号を騒音計本体の設定によりACかDCかに切り替えられる場合は、ACに切り替えます。

当社騒音計LA-1410/1440/4440やLA-3260/3560/3570では、出力端子にAC - Zという信号を出力することもできます。これは、騒音計で選択している周波数重み付け(A特性/C特性/Z特性)には連動せずに、つねに出力端子からはZ特性(FLAT特性)で重み付けられた信号を出力する機能です。騒音計にはA特性音圧レベルを表示しておきながら、解析装置ではZ特性(FLAT特性)の信号を解析したい場合などに使用できます。

騒音計の内部校正信号を使用した解析装置の校正

騒音計の内部校正信号を使用して解析装置を校正する手順は次の通りです。

単位名については空白とする方法と、“spl”とする方法をご紹介しています。音圧レベルの単位を単に“dB”という単位で表示する場合は、単位名を空白に設定します。測定したデータを当社の時系列データ解析ツールOscope2 にインポートする場合には、単位名を“spl”に設定しておくと正しい音圧信号に変換して読み込むことができます。

  1. 騒音計のA/C/Z 等のキーを押して、周波数重み付けをC特性に設定します。
  2. 騒音計のFAST/SLOW等のキーを押して、時間重み付けをFに設定します。
  3. 騒音計のLEVEL UP/DOWNボタンを押して、レベルレンジを実際に使用する設定に合わせます。
  4.  騒音計のCALボタンを押して、校正信号を出力します。
  5.  後述の各解析ソフトウェアの校正手順を参考に解析装置を校正します。
  6. 校正信号はCALボタンをもう一度押して内部校正信号を止めます。
  7.  A/C/Z、FAST/SLOW等のキーを押して、騒音計を実際に使用する設定に戻します。
  • 図2 騒音計の校正信号出力画面例
    図2 騒音計の校正信号出力画面例

DS-0221 FFT解析ソフトウェアでの設定方法

  1. 周波数レンジは実際に測定する際と同じレンジに設定します。ただし、周波数レンジが内部校正信号の周波数(通常は1kHz)と同程度かそれ以下の場合は、その2倍(2 kHz)以上のレンジに設定します。
  2. 電圧レンジを校正信号の大きさにあわせて設定します。当社騒音計の内部校正信号は通常0.35 Vrmsですので、適切な電圧レンジは1 Vrmsレンジです。
  3. [入力メニュー]→[電圧レンジ設定]と操作し、Set2タブのフィルタをFLATに設定します。
  4. [入力メニュー]→[単位、校正]と操作し、単位・校正ダイアログのSetタブで、校正①をON、単位名②には空白または“spl"を入力します。校正値の設定③は“V/EU”を選びます。物理値(EU値)は1のままにしておきます。
    DS-0221 FFT解析ソフトウェアでの設定方法_No.1
  5. 単位・校正ダイアログのEU/S.Pタブを表示します。グラフ下のバーのつまみ④を一番右まで移動してグラフ下に“X:OverAll”と表示される状態にします。
    DS-0221 FFT解析ソフトウェアでの設定方法_No.2
  6. DS-0221のAVGボタンを押して平均化演算をおこない、平均化停止後に、設定ボタンの上のボックス⑤に騒音計に表示されている校正信号の値(124.0 dB等)を入力し、設定ボタン⑥を押します。続いてDS-0221のSTARTボタンを押してデータを表示し、Yの値が校正信号と同じ値になった事を確認します。
    DS-0221 FFT解析ソフトウェアでの設定方法_No.3
  7. 他のチャンネルも同様に校正をおこないます。
  8. Setタブに切り替え、物理値(EU値)が適切な値、又は、以前校正したときとほぼ同じ値に設定されたことを確認し、OKボタンを押しダイアログを閉じます。
  9. (1)~(3)で変更した設定を実際の解析で使用する設定に戻します。

DS-0250 スループットディスクソフトウェアでの設定方法

  1. 周波数レンジは実際に測定する際と同じレンジに設定します。ただし、周波数レンジが内部校正信号の周波数(通常は1 kHz)と同程度かそれ以下の場合は、その2倍(2 kHz)以上のレンジに設定します。
  2. 電圧レンジを校正信号の大きさにあわせて設定します。当社騒音計の内部校正信号は通常0.35 Vrmsですので、適切な電圧レンジは1 Vrmsレンジです。
  3. [入力メニュー]→[電圧レンジ]設定と操作し、Set2タブのフィルタをFLATに設定します。
  4. [データ表示メニュー]→[Y軸スケール]と操作し、スケール設定ダイアログで、Y軸LIN/LOG ①を“Log”、rms/0-peak ②を“rms”に設定します。全適応をチェックした状態で、OKボタンを押しダイアログを閉じます。
  5. [データ表示メニュー]→[カーソル設定]と操作し、サーチモード③を“Search”にします。全適応をチェックした状態で、OKボタンを押しダイアログを閉じます。
    DS-0250 スループットディスクソフトウェアでの設定方法_No.1
  6. サーチカーソル④(赤い縦棒)をグラフの右側まで移動し、グラフ下に“X:OverAll”と表示される状態にします。DS-0250のFFT ⑤ボタンを押し、グラフ表示をパワースペクトルに切り替え、校正信号が表示されている事を確認します。
    DS-0250 スループットディスクソフトウェアでの設定方法_No.2
  7. [入力メニュー]→[単位、校正]と操作し、単位・校正ダイアログのSetタブで、校正⑥をON、単位名⑦には空白もしくは“spl”を入力します。校正値の設定⑧は“V/EU”を選びます。
    DS-0250 スループットディスクソフトウェアでの設定方法_No.3
  8. 単位・校正ダイアログのEU/S.Pタブを表示します。チャンネルを選択し、設定ボタンの上のボックス⑨に校正信号の値(124.0 dB等)を入力し、設定ボタン⑩を押します。
    DS-0250 スループットディスクソフトウェアでの設定方法_No.4
  9. 他のチャンネルも同様に校正をおこないます。
  10. Setタブに切り替え、物理値(EU値)が適切な値もしくは、以前校正したときとほぼ同じ値に設定されたことを確認し、OKボタンを押しダイアログを閉じます。
  11. (1)~(3)で変更した設定を実際の解析で使用する設定に戻します。

まとめ

今回は、騒音計をFFTアナライザ等の解析装置に接続し解析する場合に、騒音計の内部校正信号を使用して単位校正をおこなう方法について、DS-0221 FFT解析ソフトウェアとDS-0250 スループットディスクソフトウェアの場合の手順をご紹介しました。次回も引き続き、他の製品の手順を紹介します。
音響校正器を使用した校正方法や、マイクロホンの校正方法につきましては、次々回以降にご紹介します。

(2014年6月19日発行メールマガジンより抜粋)