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デジタル計測の基礎 - 第5回「ACDCと計測器」

今回は、AC/DC に関して計測器と関わる話題をお話しします。 非常に基礎的な内容ですので、お気軽にお読みください。
AC/DC は、もちろん交流(Alternating Current:AC)と直流(Direct Current:DC)の略ですが、一般に多くは下記の 3 つの意味で使われます。

  1. 交流電源と直流電源
  2. 交流結合と直流結合
  3. 交流出力と直流出力

1番目のAC/DCは、最も一般的な意味で、電源の種類を表します。例えば、AC100V は交流電源(AC)、乾電池などのバッテリは直流電源(DC)です。最近の小型電子機器(計測器も含む)は、AC(正しくは、AC/DC)アダプタと呼ばれる交直変換器を使って電源を供給するケースが多くなっていますので、機器の仕様にあった正しい AC アダプタを使用することが大切です。

2番目の AC/DC は、オシロスコープなどでもおなじみの入力アンプへの接続方法の種類で、交流結合(AC)と直接結合(DC)の意味です。Fig.1 は、入力部の概略ブロック図で、DC結合は、文字通り直接アンプに接続され、AC 結合は、通常は 1 次のハイパスフィルタとな っていて、信号の直流成分(DC)をカットする役目を担っています。

  • Fig. 1 入力結合
    Fig. 1 入力結合

例えば、弊社の FFT アナライザの AC 結合の代表的な特性は、Fig.2 のようになっています。

  • Fig. 2 FFT アナライザの AC 結合特性
    Fig. 2 FFT アナライザの AC 結合特性

具体的には、カットオフ周波数(fc)が 0.5Hz で約 3dB 減衰する仕様ですので;

  • デジタル計測の基礎 - 第5回「ACDCと計測器」_No.1

;から、入力抵抗(インピーダンス)を1MΩとすると、コンデンサーC は、約 0.3μF となります。
さて、入力結合の使い分けですが、オシロスコープのような時間軸波形を忠実に見たい場合は、DC 結合を使うのが一般的ですが、FFT アナライザのように音や振動の周波数分析が主な用途の場合は、AC 結合が一般的です。
FFT アナライザで DC 結合を使う場合は;

  1. 直流成分(DC)も含めて測定したい場合
  2. 1Hz 以下の信号(低周波の振動など)を精度良く測定したい場合

;などが、考えられます。
AC 結合での分析で注意する点は、FFT 分析した結果のパワースペクトルに計測器自体のアンプの自己オフセットによる DC 成分を含むということです。入力レンジの-60dB 程度(1Vレンジで 1mV 程度)ですので、普通の場合だと問題にならないのですが、特に微小信号の全体のパワー(オーバオール値)を求める時はご注意下さい。

3 番目の AC/DC は、計測器のアナログ信号出力の形態に関する分類です。交流出力(AC)は、センサなどの時間軸の生信号そのもので、直流出力(DC)は、交流信号の振幅(大きさ)をレベル化した時間信号(トレンド)です。具体的な事例として、Fig.3 に騒音計の機能ブロック図を示します。AC 信号を DC 信号に変換する手法が、前号までにお話しした実効値演算となります。

  • Fig. 3 騒音計の機能ブロック図
    Fig. 3 騒音計の機能ブロック図

DC 出力も、その時の瞬時の実効値を計算しますので、時間の関数となります。 JIS C 1509-1 サウンドレベルメータ(騒音計)から引用すると、騒音レベルは下記の式 ②と定義されます。

  • デジタル計測の基礎 - 第5回「ACDCと計測器」_No.2

ここで;

  • デジタル計測の基礎 - 第5回「ACDCと計測器」_No.3

;に対応します。

さて、お客様のご質問に関する FAQ の 1 つなのですが、FFT アナライザへの入力は、騒音計の AC 出力ですか、DC 出力ですか?

答えは、AC 出力です。AC 出力を FFT アナライザの入力源として、マイクロホンからの音響時間信号を周波数分析するのが一般的です。

参考文献:JIS C1509-1 電気音響 – サウンドレベルメータ(騒音計) – 第 1 部

(2008年2月21日発行メールマガジンより抜粋)