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デジタル計測の基礎 - 第3回「時間波形と実効値」

今回のテーマは、実効値に関してお話しします。非常に基礎的な内容ですが、おつきあい
下さい。

一般に時間波形信号の大きさ(あるいは強さ)の比較をするためには、どのようなパラメータ
を使ったらいいのでしょうか? 簡単に考えると、時間波形のピーク値や最大値が 1 つの
評価値となりますが、計測器の世界では、実効値が良く用いられています。

実効値とは、周期的な交流信号の大きさ(強さ)を表す代表的な量です。そもそもは、電力関
係の世界で、交流の電気の電圧を表します。例えば日本国内の家庭に送られる電気は、実
効値が 100V の交流信号です。だから、実効値の定義は、電力(パワー)と関係して以下の
ように定義できます。

「ある直流抵抗 R に直流電圧(DC E ボルト)を加えたときに消費する電力と等価な電力を消費すれば、加えた交流電圧(AC)の実効値を E ボルトと定義する」

絵で説明しますと、図 1 と図 2 とを比較して、同じ大きさの直流抵抗 R に発生する熱量が等しいとき、図 2 の交流信号の実効値は E ボルトとなります。

  • デジタル計測の基礎 - 第3回「時間波形と実効値」_No.1

この関係を式で表現します。まず、図 1(直流側)の電力は E2/R となります。周期 T の交
流信号を V (t)とすると、瞬時の電力(というよりエネルギーといった方が良い)は V (t)2/R
となり、1 周期分積分して平均する(時間平均することにより電力(パワー)量となる)と、電力 P は;

  • デジタル計測の基礎 - 第3回「時間波形と実効値」_No.2

と、計算することができ、この値が E2/R と等しいので、交流信号の実効値 E は;

  • デジタル計測の基礎 - 第3回「時間波形と実効値」_No.3

となります。②式が、周期的な交流信号を求める定義式です。
②式右辺の平方根のなかをみると、交流信号 V (t)の 2 乗値の時間平均値(2 乗平均値)とな
っています。そのため、実効値は、2 乗平均平方根(Root Mean Square、略して rms)と呼
ばれています。

改めて、時間信号 x (t)の 2 乗平均値と実効値を定義します。

  • デジタル計測の基礎 - 第3回「時間波形と実効値」_No.4
  • デジタル計測の基礎 - 第3回「時間波形と実効値」_No.5

信号処理の世界では、3式の 2 乗平均値を時間信号 x (t)のパワーと呼びます。このパワー量
は、上記に記した物理量である電力などに対応付けができ物理的に明確であることや、信
号の大きさ(強さ)の加減算が簡単にできることから、非常に重要な量となっています。
FFT アナライザにおけるパワースペクトルも、このパワーをスペクトル分解したものと見る
ことができます。それ故、スペクトルに分けたパワーを加算したオーバオール値は、パワ
ーそのものとなります。
次回は、引き続き、実効値の求め方などをお話しします。

(2007年12月20日発行メールマガジンより抜粋)