今回は、物理現象のセンシングの例として、振動センサとしてよく用いられる圧電型加速度ピックアップについて、お話しします。
一般に、振動センサを大きく分類すると、接触タイプと非接触タイプに分けられます。非接触タイプは、いわゆる不動点からの相対振動を測定することになります。非接触のため、振動する対象物に影響を与えないというメリットがある反面、振動絶縁などの工夫が必要となります。
それに対して、接触タイプは、不動点が必要なく、比較的簡便に取り付け、測定可能です。
接触タイプの振動センサ測定は、殆どがおもりの運動を検出するサイズモ系と呼ばれる原
理を利用して、対象物の加速度や変位などを測定しています。以下、サイズモ系の測定原
理について簡単に説明します。
図 1.に示すように、筐体の中に1 つのおもりがばねと減衰要素を持つ抵抗で支えられた構成の系を、サイズモ系と呼びます。
ここで、x を筐体に固定した座標、y を空間に固定した座標とすると、x がおもりと筐体との相対変位、y が測定すべき振動体の変位を表すこととなり、図1.のサイズモ系は1自由度系と見なすことができるので、運動方程式は;
(m はおもりの質量、k はばね定数、c は粘性減衰係数)
と記述することができます。ここで、図1.のサイズモ系においてfn は不減衰固有振動数、
ζは減衰比です。
実際に計測したい量は対象振動体の変位であるy であり、センサからおもりの変位x を測定
することができてかつ、x とy の関係を求めることができれば、振動体の振動を計測できます。
x とy との振幅比をγ(相対変位伝達率)とすると
となります。f はサイズモ系の筐体と振動体を一緒に振動させた振動数で、固有振動数fn と
の比を横軸にγのグラフを描くと図2.のようになります。
グラフをよく見ると、f / fnが1より小さいか、1 より大きいかで特性を分けて考
えることができます。
① f / fn≫1のとき
γ≒1となり、x ≒ y となります。
すなわち、振動体の変位に相当した量が測定できることになり、この系は変位計として機能します。
② f / fn≪1のとき
γ―>f 2 / fn2 となり、f 2 に比例して大きくなり(グラフの形は、12dB/OCTで大きくなる特性)、ω = 2πf なのでx はω2y に比例することになります。
すなわち、振動体の加速度に比例した量が測定できることになり、この系は加速度計として機能します。
実際に振動ピックアップとしてよく利用されているのは、この原理を使った圧電式の加速度ピックアップです。圧電素子に力が加わりひずみが生じると電荷が発生し、これから、相対変位 x に比例した電圧信号を得られるようになります。
上記の原理による加速度信号を検出する圧電型加速度ピックアップの周波数特性は、固有
振動数 fn に依存して、平坦帯域の許容差にもよりますが、実用的には、1/3~1/5 までの帯域
が使われています。
(参考文献) (社)産業公害防止協会編「公害防止の技術と法規(振動編)」
(2007年11月21日発行メールマガジンより抜粋)