今回から、「デジタル計測の基礎」と題して、主に物理量計測器に関する基礎的な知識、お客様から寄せられるよくある質問などのテーマを取り上げて解説していきたいと思います。ここは、計測コラムの欄ですから、なるべく分かりやすくかつおもしろく記述したいと思いますので、肩肘をはらずに、お読みいただければ幸いです。
さて、電気/電子計測器とはその名の通り、電圧、電流、抵抗、電力、電磁波などの電磁気量の測定がメインですが、その他の物理量(例えば、長さ、形状、変位、厚み、質量、圧力、力、トルク、回転速度、周波数、音、振動、流量、温度、湿度、熱、光、濃度など)の計測を目的としたものを、「物理量計測器」と呼ぶ場合もあります。厳密には、光も電磁波そのものですから、物理量計測からはずす時もあります。
さらに、最近では、人間の感覚(いわゆる五感)量に対応した量や情報を測定する計測器のニーズも高くなっており、具体的には、光や音の分野(すなわち視覚と聴覚)では、照度計や騒音計などが実用化されていますが、味やにおいなどは、実用化が遅れている分野です。たぶん、これらの量は、物理量というよりも化学量なので、センシングや感覚の定量化評価が、前者より難しいためと思われます。
この物理量計測器を開発または理解するためには
- 物理現象の把握とセンシング
- 電気/電子回路技術
- デジタル信号処理技術
- ソフトウェア技術
などの知識/技術が必要となります。本コラムでは、これらの内容の基礎的な部分を、なるべく分かりやすく説明していきたいと思います。(筆者の能力のため、あまり専門的な内容は期待しないでください。)
さて、物理量をセンシングするためには、物理の公式が基礎となります。
その基本物理公式に関して、今でも鮮明に記憶している高校時代の物理の先生から教えられた点があります。
(原因となる量)=(比例定数)×(結果の量) ・・・・(1式)
という式です。
例えば、ニュートンの運動方程式では、
F=ma (力)=(比例定数:質量)×(加速度)
電気回路におけるオームの法則では、
V=Ri (電圧)=(比例定数:抵抗)×(電流)
弾性体におけるフックの法則では
F=kx (力)=(比例定数)×(歪み)
などです。
フックの法則を例に上げれば、「ばねの伸びまたは縮みは、加えた力に比例する」という現象面での表現が成り立ちます。
この言い方をするならば
(結果の量)=(比例定数)×(原因となる量) ・・・・(2式)
と表すのが妥当な気がするのですが・・・。どなたか、(1式)が物理公式の一般的な表現形式である理由をご教授願えれば幸いです。
(1式)がもう一点意味していることは、ある範囲内であれば物理現象は比例関係が成り立つすなわち線形系と見て良いと言うことです。
物理量計測に利用されるセンサーは、基本的に線形が成り立つ範囲での物理現象を、適当な物理法則を適用して電気信号に変換しています。
今回は、雑談のようになりましたが、次回から具体的なテーマについて記述していきたいと思います。
(2007年10月18日発行メールマガジンより抜粋)