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「波形とFFT-1」1. sin波形(MPシリーズ電磁式検出器)

初めに

CF-7200データパレット、新しいFFTアナライザーが生まれてきました。
FFTアナライザーを理解するにあたり、新製品でも基本的なところは昔と変わりはありません。FFTは過去にも取り上げたことがありますが、今回は「FFTの初歩」ということで再度お付き合いください。

一般に複雑な波形はsinとcosの波形の重ねあわせでできている。よって音振では「複雑な波形も、まず1つのsin波形、cos波形で考えてみる」と理解しやすいといわれています。このような視点でFFTアナライザーの話を進めます。理論的なところは「FFTアナライザーについて」を参考ください。

 

よく使われる用語の判断は独断ですが、説明のポイントということで【】を記しました。

1.sin波形(MPシリーズ電磁式検出器) 

物理現象はセンサーによって直接または間接的に測定され、電圧信号として観測されます。
例えば回転速度の測定を考えてみますと、センサーとしてMP-9100電磁式回転検出器があります。この検出器は歯車に接近させ取り付けます。
歯車が回転すると歯車の山谷によるギャップ差で発生する磁束の強さの変化を利用して、歯車の歯数と同じ信号を検出しています。

この出力波形は歯車の形状に影響されますがほぼ【正弦波】が出力されます。以後正弦波を【sin波】余弦波を【cos波】と称します。

sin波は、一定時間後には同じ形の波形が繰り返します。時間をずらすと波形を重ねることができ、数学では【周期関数】といわれています。
同じ波形になるまでの最小経過時間(【1サイクル】の時間)を【周期時間】(略称で【周期】)といい単位は秒(s)が使われます。
また、周期の逆数を取って【周波数(単位はHz)】で表わされます。
周波数は1秒間に何サイクルかを表わしていることになります。

MPシリーズ電磁式検出器の信号は、回転速度が減少すると周波数と【振幅】が変化します。回転速度が高いほど振幅が大きくなる特性を持ち、【出力電圧特性】としてx軸に周波数、Y軸に振幅を取ったグラフで表わされます。また、検出器と歯車間の隙間(ギャップ)が狭いほど振幅が大きくなる特性や、ケーブルの長さなどの影響を受けるため【測定条件】が付記されます。
取り付け条件や出力電圧特性の例が次のところでご覧いただけます。

【回転速度(r/min)】測定では、歯車の歯数PとMP-9100の信号の周波数F(Hz)がわかると

       回転速度(r/min)=F÷P×60(s)      ・・・(1)

で求めることができます。
実験波形の最後に、2000r/min一定で回転しているときの波形とその【振幅スペクトル】を示しています。普段は振幅スペクトルと【パワースペクトル】をよく混同して使ってしまいます。
【パワースペクトル】は振幅の2乗で表わされ、振幅スペクトルはパワーペクトルのY軸単位を振幅で表示したものとなります。このことはもう少し先で再度取り上げます。振幅スペクトルのデータを見ると、周波数とその【片振幅】(sin波の最大値)を読み取ることができます。
観測波形は、X軸が時間になっていて【時間領域】での表示となり、一方スペクトルはX軸が周波数になり【周波数領域】の表示となります。
時間領域では周期とその片振幅を、周波数領域では周波数とその片振幅を読むことができ、どちらもsin波を表わしています。このことから「観測波形もスペクトルもどちらも同じ信号を表わしている」ということ、言い換えると同じ信号を時間領域と周波数領域で視点を変えて観測していることがわかっていただけると思います。

sin波は片振幅A、周期T、周波数f、時間tすると

       Asin2πft  f=1/T            ・・・(2)

と表わされます。
上述のMP-出力電圧特性はfとAの関係を表わしていることになります。
周波数と振幅が一定のsin波は、計測機器を単位校正する基準信号としてよく使用されます。音振動では例えば音響校正器の信号は250Hz 音圧124dBや、振動校正器の159.2Hz 加速度10m/s^2 などがあります。

余談ですが、2000r/minと一定の時でも観測波形の振幅が変化していることに気付かれたことと思います。この理由は歯車の取り付けの偏芯によるギャップの変化が振幅の変化として現れます。

MPシリーズ電磁式検出器の歯車を取り付ける時には偏芯に注意してください。

ポイント:sin波は振幅と周波数で表わすことができる

(2006年12月21日発行メールマガジンより抜粋)