6.単位校正(センサー信号を物理量へ)
次のアプローチは「Repolyzerは計測を意識させない仕組みを用意する」ことでした。センサー感度設定や電圧レンジなどのハードウェアの設定そして解析条件などのソフトウェアの設定を、ユーザーが意識しないで設定できる方法です。
計測器の設定で難しいといわれることの多いセンサー感度設定(校正)では、センサーのデータベースを標準機能として搭載しました。
一度センサー情報を登録すれば次回の計測からはセンサーの型式やシリアル番号などから選択でき、校正作業を簡略化することができます。
さらに最近では、TEDSセンサーという感度データを内蔵した製品が販売され初めていますが、これを使用する事でセンサーから直接感度データを読み込むことができるようになります。
FFTアナライザーでは様々な設定項目や解析条件があり、設定内容や操作手順は分かりやすいとはいいがたいものでした。これについてもすべての計測・解析条件を、チャンネルパレットとコンフィグボードから設定できるように集中させ、またグラフィカルな画面にすることで、FFT解析専用で使用してもマルチアプリ解析で使用しても「操作は同じ」になるよう考え、使いやすさわかりやすさに配慮しました。
開発の構想(イメージ)段階では、ハードウェアとソフトウェアの設定では、グラフデータの情報から、最適値を自動設定させようと考えました。例えば、20kHzまでの音をオクターブ解析と同時に2kHzまでの振動のFFT解析をしたい場合、ユーザーは「横軸を20kHzのオクターブのグラフ」と「横軸2kHzのFFTのグラフ」をペーパーに配置して、センサーをハードウェア(フロントエンド)に接続しハードウェアをパソコンに接続すれば、後はスタートボタンを押すだけで解析終了というイメージです。
グラフの縦軸は、測定されたデータにあわせ最適に自動スケーリングし表示されるといったことを想定しました。非常にインテリジェントなシステムなので、現段階では実現が困難という判断になりました。欲を言うと、解析終了後に、過去データとの比較や、顕著な特徴などを分析してくれる機能まで欲しいところですが、これは「計測アシスタントロボット」の領域だと思いますので、近未来での実現を楽しみにしたいと思います。
7.信号前処理(バンドパス、時間軸2重積分)
音・振動の計測では、バンドパスなど信号処理をおこなってから解析することが多々あります。Repolyzerでは、この信号処理をデジタル前処理で実現していますので、パソコンのみで前処理が可能になりました。
今でも、信号前処理をアナログ回路のフィルタユニットや微積分ユニットを使って実現していますが、Repolyzerを使うことで、デジタル前処理を手軽に使うことができます。
極端な例ですが、現場でDAT(デジタル・オーディオテープ)に収録してきたデータを、社内に戻ってからDATの出力をアナログユニットに通し、信号処理された出力をFFTアナライザーやオクターブアナライザー等の解析装置へ入力して解析をしています。しかしRepolyzerを使うと、現場で前処理した信号をFFT解析しながら同時に生データ収録が可能です。
そして社内に戻ってからはパソコンのみで、収録した生データを新たにデジタル前処理を行い解析することが出来ます。
またデジタル処理ですから、2重積分したきわめて小さな数値でもデーターはノイズに埋まることなく有効というメリットもあります。
8.将来の拡張性
最後にプラットホームとしてのRepolyzerの拡張性です。ここでもパソコンで全て処理している事が大きく貢献しています。今までは、ハードウェアを中心にして、FFT解析ソフト、オクターブ解析ソフトなどソフトウェアをアプリケーション毎に開発して来ました。それは専用ソフトとしての使い易さがあり大切なポイントですが、ソフト毎に操作性が違います。
Repolyzerでは同じ操作性で解析からレポート作成まで行えることは、逆の意味でアピールできる大きなポイントと考えています。
例えば「音質」の解析機能を新たに追加すれば、音質パラメータの分析だけでなく、音質トラッキング解析までも同じ操作手順で出来る。
また、「トルク」の解析機能を新たに追加して、トルク変動と音・振動の相関関係の分析が、やはり同じ手順で簡単に操作できるなど、将来Repolyzerに新しい解析機能を追加しても、車の運転同様に操作を新たに覚えなくて済むということです。
ハードウェアの面では、マルチフロントエンド対応機能で解決をしています。音振動計測の範囲以外の信号、例えば低速サンプリングのデータロガー分野や、高速サンプルが必要なオシロスコープの分野など、ハードウエアが変わっても同一操作で計測とレポート作成が可能となります。これが、RepolyzerWorldの思想です。
最後になりますが、Repolyzerは、今後のパソコン処理能力のアップを見越して、全ての処理をパソコンのみで実現しています。
最近では、マルチコアCPUで並列処理するパソコンも発売されてきました。
Repolyzerはこれに対応しています。将来もっとスピードアップされたRepolyzerを操作するのが今から楽しみです。
Repolyzerは、この様に「新しい発想、構想」が盛り込まれた製品ですが、なかなかユニーク過ぎて認知されないのが悩みです。最近は少しずつ認知されてきたと感じ、うれしく思っています。
−完−
(2006年9月21日発行メールマガジンより抜粋)