前回ではアンバランスがある場合の起振力を計算しましたが、今回はこの起振力による強制振動の変位を考えてみましょう。
減衰の無い1自由度系の運動方程式は
mx“+kx=Pcosωt ・・・(1)
m:質量
k:バネ定数
P:外力
強制振動を前提にしていますから、過渡状態は無視しこの解を
X=Acosωt ・・・(2)
と仮定して、(1)式に代入すると
-mAω^2cosωt+kAcosωt=Pcosωt
A(k-mω^2)=P
これより、
A=Xo/|1-(ω/ωo)^2|=Xo/|1-(f/fo)^2|・・・(3)
ただし、 Xo=P/k
ωo^2=(2πfo)^2=k/m
となります。
(3)式からm、k、または固有振動数foと起振力Pがわかると機械の振動振幅Aが求められます。
<例題>
バネ定数1kN/mm4個で支持された振動ふるい機、加振機を含めた全重さ10tをアンバランス方式の加振機で加振する。加振機の回転数750r/min、回転体の質量500kg、偏心量50mmの時の振動ふるい機の振動変位振幅は何mmか、床に伝わる力は何Nか。
前回より起振力Pは
周波数f=750÷60=12.5 (Hz)
起振力P=mrω^2=500×0.05×(2π×12.5)^2=154×10^3(N)
(3)式より振動振幅Aは
Xo=P/K=154×10^3÷4000=38.5(mm)
K=4×1000×1000 (N/m)
固有周波数fo=1/2π*√{4×1000×1000/10000}=3.18(Hz)
A=Xo/|1-(f/fo)^2|=38.5÷{12.5^2/3.18^2-1}=2.66(mm)
前々回「振動解析 -19 「振動絶縁-2」」より力の伝達率τは
τ=1/|1-(f/fo)^2|
床に伝達される力Qは
Q=P÷{(f/fo)^2-1}=10.7×10^3(N)
伝達率(周波数応答関数)はFFTアナライザーで測定することが出来ますが、これを使って次のような演算も可能です。
例えば精密機器を据え付ける時、床の振動が精密機器に伝わり精密機器がどれくらい振動するかそのパワースペクトルを予測することで、防振対策を的確にしたいことがあります。これは床から精密機器へ伝わる振動伝達率(周波数応答関数)と、床の振動パワースペクトルを掛け算して求めることができます。周波数応答関数は精密機器を加振機でSINスイープして測定します。また据付予定の床の振動は加速度センサーでパワースペクトルを測定します。この掛け算の操作例として次の「パワースペクトルと周波数応答関数の掛け算(イコライズ機能)」を参照ください。
参考文献:実用機械振動学 国枝正春著 理工学社
(2005年9月26日発行メールマガジンより抜粋)