前回の続きとして防振ゴムの振動絶縁を説明します。
机の上に置いた小さい試験機などの振動が、机に伝わり音がしないよう簡易的に防振する場合防振マットを敷くことがあります。この防振ゴムに使われる加硫ゴムは、ゴムの中に均一に配合剤を混ぜ合わせ一定の圧力と温度を加えることで高い弾性を持たせたものです。その内部摩擦減衰は能力が大きく形状も色々な物が用意されていて、取り扱いも簡単で機械の振動絶縁に良く使われます。
前回で注目点は固有振動数が外力周波数の1/3以下になるように防振することでした。
図1 減衰付1自由度駆動系の振動伝達率
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振動数比 η=ω/ω0
防振ゴムでは、静的バネ定数と動的バネ定数に注意します。
静的バネ定数Ksは機械を防振ゴムに載せた時のたわみ量δに関係し、次式の関係式があります。
Ks=W/δ ・・(1)
W:荷重(=mG m:質量 G:重力)
δ:たわみ量
静的バネ定数ksに対する動的バネ定数kdの比λはおよそ次表になります。
| 種 類 | λ=kd/ks |
| 天然ゴム | 1.0(軟)~1.6(硬) |
| クロロプレン系 | 1.4~2.8 |
| ニトリル系 | 1.5~2.5 |
(1)式よりたわみ量δと動的バネ定数kdとの関係式はks=kd/λを代入し、
kd/λ=W/δ
整理して
δ/λ=W/kd ・・・(2)
系の固有周波数foは
fo=1/2π*√{kd*G/W)=1/2π*√{Ks*λ*G/W}
=1/2π*√{λ*G/δ} ・・・(3)
Ksの単位をkg/cm、δの単位をcm、G=980cm/s^2を代入すると
fo=4.93√{ksλ/W}=4.93√{λ/δ} ・・・(4)
概算計算式として
fo=5/√δ (Hz) ・・・(5)
が用いられます。
(3)式でλ=1にとり、固有振動数とksとの関係をグラフにすると図3のようになります。
図3 固有周波数、荷重、バネ定数の関係
荷重(kg) 𝑓_0=4⋅93√((𝜆⋅𝐾_𝑆)/𝑊) λ=1
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バネ定数(kg/cm)
防振ゴムは、円筒型、正方形型などの形状があります。円筒型などではあまり長いとたわみによりくの字に座屈しますので座屈の限界範囲内で使用する必要があります。
一般的な防振ゴムの選定は
- 外力の周波数の1/3以下の固有周波数を選ぶ
- 静荷重によるたわみは10%程度以内にする
- 静荷重+動荷重+余裕度が許容荷重範囲以内にする
- 使用温度、耐油性など使用環境に適する材質を選ぶ
となります。
外力とその周波数は、回転体の軸の毎秒回転数、送風機の毎秒回転数×羽根数、歯車の毎秒回転数×歯数、機内燃機関の毎秒爆発数などがあります。
<例題3>
200kgの重さの機械の防振として、4個の防振ゴムを使用する。
カタログに許容荷重80kg、ks=35(kg/mm)λ=1.4の記載があった。
たわみδ、固有周波数foは
Ksを単位変換して
KS=350 (kg/cm)
また、
防振ゴム1個当たりの荷重W=200/4=50(kg)
(1)式より
δ=W/Ks=50/350≒0.143(cm)
(4)式より
fo=4.93√{1.4÷0.143}≒15(Hz)
固有周波数は約15Hzとなります。
例題4
重さ100kgの内燃機関が毎分900回転で回っている。上下に20kgの不平衡力が発生している。防振ゴム4個で振動伝達力を5kgに押さえたい。ゴム1個のバネ定数Kをいかにとればよいか。
外力の角周波数ωは
ω=2πf=2π×900÷60=94.2 (rad/s)
固有角周波数ωoは
ωo^2=K/m==WG/m=980K/100=9.8K (rad/s)
1自由度の振動伝達率τは前号の減衰の無い次式を簡易的に利用し
τ=|1÷{1-(ω/ωo)^2}| ・・・(6)
また外力周波数の1/3以下に固有周波数をとる条件ω>ωoより(6)式は
5/20≦1÷{(ω/ωo)^2-1}=1÷{94.2^2/9.8K-1}
よって
K≦181 (kg/cm)
1個の動的バネ定数は
181÷4≒45.3(kg/cm)
1個の静的バネ定数は λ=1.4とすると
Ks=Kd/λ=45.3÷1.4≒32.5(kg/cm)
例題4のような条件で防振ゴムを選定後、例題3や(6)式でfoやτを確認することができます
外力の周波数からその1/3を固有周波数として例題のように静的バネ定数を求め、該当するバネ定数の防振ゴムを選定します。また、選定後に固有振動数foや伝達率τを確認することができます。防振ゴムの選定にあたっては専門メーカーから提供される資料やカタログを参考にしてください。
参考文献:機械の騒音とその対策 共立出版発行
(2005年8月25日発行メールマガジンより抜粋)