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振動解析 -18「振動絶縁」

最近の新幹線は、静かで振動が少ない車両があり驚かされます。一般に騒音源の対策として振動防止対策がとられますが、騒音対策のほかに乗り心地の向上の目的で弾性支持の方法が進歩してきました。以前にも述べましたが今回また振動絶縁を取り上げます。
機械の振動が床に伝達するのを防止するため機械と床の間に弾性体を入れることがよくあります。弾性支持の目的を大別すると

(1)能動的振動絶縁
機械から発生する振動が床へ伝わるのを防止する

(2)被動的振動絶縁
精密機械や測定機器を床からの振動が伝わるのを防止する

に分けられます。車両のばね装置は軌道や道路のでこぼこによってひき起こされる車軸の振動を車体に伝えないことを目的とし、(2)の例です。
この2つの弾性支持による振動絶縁の特性は、ともに図1になり、これに対応する式は(1)式と(2)式になります。
(1)式は機械の力による強制振動Pが床へ伝わる力Qの伝達率τを表し、
(2)式は床の変位による強制振動xoが機械へ変位振動xとして伝わる伝達率τを表します。

図1 減衰付1自由度駆動系の振動伝達率

  • 振動数比 η=ω/ω0
    振動数比 η=ω/ω0

       τ=Q/P=√{1+(2ζη)^2}/{(1-η^2)^2+(2ζη)^2} ・・・(1)
       τ=x/xo=√{1+(2ζη)^2}/{(1-η^2)^2+(2ζη)^2}・・・(2)
ここで、
       減衰比 ζ=C/Cc (C:減衰係数) ・・・・・・・・(3)
       周波数比 η=ω/ωo=f/fo ・・・・・・・・・(4)
       臨界減衰係数 Cc=2√mk=2mω/ωo  ・・・ ・・・(5)

       固有振動数 ωo=√k/m fo=wo/2π   ・・・・・・(6)
       静たわみ δ=mG/k    ・・・・・・・・・・・・(7)
       質量m=W/G

      W:荷重(kg)
      G:重力加速度
             ( √:√以下の記述はルートの中を示す)
また、減衰Cが無い場合は、ζ=0を代入し(8)式になります。

       τ=1/|1-η^2|   ・・・・・・・・・・・・・・(8)
       (||は絶対値を示す)

防振対策はこのτを小さくするように設計を行なうことになります。
図1からわかるように、

(1) f/fo>√2では常に伝達力は起振力より大きくなる
・この場合ζの値が小さいほどτの値が小さく、防振上望ましい   
(2) f/fo<√2では起振力より伝達力が常に大きい
・この場合ζの値が大きいほどτの値が小さく、防振上望ましい

の特性があります。以上の諸特性から防振対策として次のことに注意します。

(1)防振はできればf/fo>3になるよう対策する。伝達率は(8)式から約12.5%以下になります。
(2)(1)にすることができない場合はf/fo<0.4にする。
(3)起振力の振動数が0から次第に増加する場合、共振点を通過ためη<0.2の減衰をいれる。
(4)防音の目的では、f<20Hz以下が望ましい。 

■固有振動数の例

(1)ばねと荷重の系の固有振動数foは

      fo=1/2π√k/m

mは機械の質量で、機械の重さW(荷重kg)、重力加速度Gとすると

      m=W/G

ばね定数kは、防振ゴムを何枚か敷くなど複数使用する場合があります。ばね定数は直列で使う場合と並列で使う場合で次のように合成して考えます。

図2 バネ定数の合成

  • 直列
    直列
  • 並列
    並列
  • 直列ばねの場合の
    1/𝑘=1/𝑘_1 +1/𝑘_2 +1/𝑘_3
  • 並列ばねの場合
    k=k1+k2+k3

■ 例題:空気圧縮機の質量Mがあり、回転数540r/minのとき、圧縮機の不つりあい力Psinωtの振幅Pは40kNとする。この機械を質量M'のコンクリートに据え付け、M'をばねkで支持することにより周囲の地盤に伝えられる振動伝達力Qを5kNにしたい。弾性支持される系の固有振動数foをいくらに選べばよいか。

(1)式にP=40kN、Q=5kNを代入し
  τ=Q/P=5kN/40kN=1/8

(8)式より

     1/8=1/|1-η^2|

よって、 η^2=9、 η=3
また 2πf=540/60 より f=9 (Hz)

(4)式より
   f/fo=3

f=9を代入すると、
      固有周波数  fo=3 (Hz)

固有周波数fo=3になるようM'、kを設計することになります。コンクリートなどの基礎台は地盤支えられますから、この地盤のバネ定数を考慮すると固有周波数の式は次のようになります。

固定基礎を考慮した固有振動数

上下方向の振動において機械質量の重さW(kg)、基礎台の重さWo(kg)基礎台が地面に接する面積をA(cm^2)とすると、固有振動数は

       ωo=√GkvA/(W+Wo) ・・・(9)

kvは地盤係数といい、地盤の性質によって異なり概略値を次表に示します。

 地盤の種類  kv(kg/cm^3)
軟弱な粘土 >2
ローム属 3~5
細 砂 5~6
8~10
砂 礫 11~13

水平運動の場合は地盤反力は基礎底面に働き、固有振動数は

       ωo=√GkhA/(W+Wo ・・・(10)

上式でkhを水平地盤係数という。khの値は確定的ではありませんが

       kh=(0.6~0.7)kv

が用いられます。
参考文献:

機械の騒音とその対策 共立出版発行
実用機械振動学 理工学社発行

(2005年7月21日発行メールマガジンより抜粋)