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振動解析 -17「振動モードと実稼働解析」

振動の動作を可視化するツールとして良く用いられるものに振動モード解析と実稼働解析があります。
この2つの方法は簡単に測定ができ、また周波数分析や時間軸データより測定対象の振動挙動をより理解しやすい利点があります。測定にあたっては以前に説明しましたように測定対象の設置のしかたや、測定点数と測定に時間がかかるという点がありますが利用価値はあります。
この2つの手法は振動をアニメーション(動画)で表示すると言う点ではよく似ていますが、同じ解析ではありません。誤解しやすいので注意しましょう。

1. モード解析

モード解析は測定対象の固有モードをみるためのものですから、基本的に固有周波数に注目します。測定点をXY座標に取り、固有振動数に対する各測定点の振幅と位相情報からその振動挙動をアニメ-ションとして画面に表します。
振動の現象として定在波の観測を行います。固有モードの形、その固有振動数は音の共鳴現象(定在波)と同じものです。測定するデーターは周波数応答関数(伝達関数)で、入力を加振力(N)とし、計測点での出力(センシング)は加速度、または速度、変位を測定することが一般的です。
モード解析を行う目的は固有周波数におけるモデル化であり、周波数応答関数を元にカーブフィットを行うことでこの周波数応答関数を数式化すること、それにより物理モデル(モードモデル)を作成することにあります。ここで求められる因子はモード質量、モード剛性、モード減衰になります。この概念図を図1に示します。

図1

  • 図1

 

2. 実稼働解析

実稼働解析は文字通り実際の動きを可視化する手法です。今現在の振動がどのように振動しているのか画面でアニメーションとして表示します。通常、振動そのものは微小変位で高い周波数で振動していることが多く目で見ることができません。代わりに振動を聴診棒で音として聞くなどしますが、振動を可視化して見える形にしようというのが実稼働解析の目的です。
測定点を元に振動をアニメーションするところはモード解析と同じです。

(1)解析手法による分類

実稼働解析を行う手法として、周波数領域の実稼働解析と、時間領域の実稼働解析があります。

周波数領域
位相差とパワースペクトルを測定します。周波数領域の解析の利点は測定の対象の現象が定常現象で何時でも観測可能な再現性がある場合には、少ない入力数(チャンネル数)のFFTアナライザーでも、測定点を移動させ繰り返し測定することで多点の計測が可能であることです。

時間領域
時間領域の解析では同時に多点の計測が必要になりますが、過渡的な現象を観測することができます。またバンドパスフィルターなどで信号処理することで、特定の周波数の時間経過の挙動を観測することができます。
周波数領域と時間領域の実稼動解析概念図を図2に示します。

図2

  • 図2_NO.1
  • 図2_NO.2

(2)入力信号による分類

振動を可視化するにあたり、振動信号をどのように測定したらよいかが問題になります。測定対象が適当なものであれば、打撃試験ができますが、実際に稼働している機械や構造物ではそのような手法が使えません。対象物に加速度センサーを取りつけ、その複雑な振動波形から注目する振動信号を抽出する必要がありますが、この信号の周波数成分から大きく分類して広帯域か狭帯域に分けることができます。

広帯域信号

例えば橋の振動解析を考えてみましょう。

図3

  • 図3

橋という巨大質量の加振は難しいので、橋を渡る車両をうまく利用できないか、これができれば便利ですね。橋を渡る車両は車重も速度もばらばらです。また車両もいつやってくるかわかりません。長い時間を考えればランダム加振と考えることができます。
実際各測定点の振動振幅と基準点に対する位相差を長時間の周波数応答関数を測定することで、擬似的に必要な周波数応答関数を計測することができます。この場合、基準点の振動信号が理想的な白色雑音になっていればモード解析と同様な結果が得られます。ただし振幅は実数値として扱い、モーダル解析のようにモード質量、モード剛性などモード系のモデリングはできません。

狭帯域信号

次にモーターが加振源になっている機械を考えてみましょう。モーターは一般的に一定回転で回っていますので、機械に加わる加振力は回転に起因する周波数(回転数の高調波成分を含めて考えます)によるものと考えられます。運転回転数が機械の固有振動数と合致しているとモード形の共振が観測されますが、一般的に共振周波数を外して運転されますので、回転数の周波数前後に存在するモードの合成された挙動を観測していることになります。 

参考文献:実用機械振動学 国枝雅治著 理工学社発行

(2005年6月23日発行メールマガジンより抜粋)