本文にスキップする

Select your region & language

Global

Region

デジタル信号処理の基礎 - 5 「周波数分解能とスペクトル」

前回の宿題は「振幅が2Vと3Vの正弦波の合成パワーはいくらになるか?」でした。答えは、もちろん、2 + 3 = 5 と考えて 12.5 (= 5 x 5/2)とはなりません。パワーの次元で加算をする必要がありますので、パワーは、

   2 x 2 / 2 + 3 x 3 / 2 = 6.5 (V2)

となり、rms 値は 2.55 (V)となります。

(厳密には、周波数の異なった 2 つの正弦波としています。)

パワースペクトルでは、複雑な時間軸信号を周波数成分に分解してその成分のパワーを求めますが、その周波数の分解能力は具体的にはどうなるのでしょうか? 本コラムは、「デジタル信号処理の基本」ですので、これからの説明は、アナログ時間軸信号をA/D変換した離散的なディジタル時系列信号の処理である離散フーリエ変換(第 3 回で説明した DFT )について、お話します。

DFT の計算をするために、無限の時間信号からまず有限の時間窓長(標本化時間ともいう) 1 秒を切り出しますと、基本周期は 1 秒となり、基本周波数は 1 Hz となります。この時間窓長で、0.5 Hz、1 Hz、1.5 Hz、2 Hzの4 つの正弦波信号を別々に取り込み、DFT を実行すると結果はどうなるでしょうか? 

直感的に分かるように、1 Hz と 2 Hz は、基本周波数の整数倍となりますので、1 点目と 2 点目にラインスペクトルが現れます。

それでは、0.5 Hz (周期は 2 秒)の場合はどうなるでしょうか?

半周期分しかサンプルされていないので、その信号が、0.5 Hz なのかどうかは判断出来ません。この例では、1 Hz が最小の周波数分解能となります。

一般には時間窓長 T 秒とすると、周波数分解能 Δf (Hz) は;

   Δf = 1/T

となり、Δf 毎の周波数が計算されます。この例では、1 Hz、2 Hz、3 Hz・・

それでは、1.5 Hz は分解能からはずれているので、スペクトルパワーが全然でてこないのでしょうか? 実際はそうではありません。

DFT のスペクトル分析は、Δf の幅で分析します。1.5 Hz の主なパワーは、1 Hz と 2 Hz の成分に分かれて出てきます。(厳密には、3 Hz 以上にも少し漏れて出てきますが・・) 同じように、0.5 Hz のパワーも、周期が無限大(すなわち周波数が 0 である直流成分)の DC 成分と 1 Hz の成分に分かれて出てきます。

DFT でスペクトルを求めると周波数分解能は、時間窓長の逆数である Δfとなり、そのスペクトルは Δf の幅で Δf 毎に出てきます。この例では、1 Hz の幅で 1 Hz、2 Hz、3 Hz と出てきます。時間窓長が 2 秒の場合では 0.5 Hzの幅で、0.5 Hz、1 Hz、1.5 Hz、2 Hz・・と出てきます。

次回は、時間軸信号のサンプリング周波数と分析周波数の関係などに関して説明いたします。

(2003年2月24日発行メールマガジンより抜粋)