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デジタル信号処理の基礎 - 6 「時間軸と周波数軸との関係」

前回では、DFT (離散フーリエ変換)の計算において、最小周波数分解能と切り取る時間窓長(標本化時間)とが逆数の関係にあると話しましたが、それでは分析出来る最大の周波数は何で決まるのでしょうか?

デジタル信号処理では、時間とともに連続的に変化する信号(アナログ信号)をある一定の時間間隔で切り出して不連続なデータ列(ディジタル信号)に変換する操作(A/D 変換という)を行います。この時間間隔を「サンプリング周期」と言います。その逆数 fs (= 1/Δt )を「サンプリング周波数」と言い、1 秒間にデータを切り出す速さまたは回数を表します。

分析できる最大周波数は、このサンプリング周波数に依存します。
分析したい正弦波信号の周波数を fm とすると、サンプリング周波数 fs は、それよりも大きな周波数でサンプルしなければ正しくデータを収得出来ないことは、直感的に理解出来ますが、それでは、どれくらいの周波数でサンプルすると、データを再現出来るのでしょうか?

一般的には、“入力周波数の 2 倍以上の周波数でサンプルすればデータを正しく再現出来る”というナイキストのサンプリングの定理があり、例えば、入力正弦波の周波数 fm をとすると、サンプリング周波数 fs は2fm 以上とする必要があります。この下限サンプリング周波数 2fm を「ナイキスト周波数」と呼ぶことがあります。これを守らないと嘘のデータを取り込むことがあり、この現象を「エイリアシング」と呼びます。
これから逆に、サンプリング周波数 fs を決めると、分析出来る最大周波数は、fs/2 となります。

デジタル信号処理で、有限の時間長Tを切り取るときに、データの「サンプリング点数」も重要になり、サンプリング周期 Δt で、N点サンプルすると T = N Δt (= N/fs )となります。具体的にサンプル点数 N は、FFT の計算の都合上、2 のべき乗(例えば、1024、2048 など)とするのが普通です。

N 点の時間信号から、最高 N/2 点の意味のあるスペクトルが得られますが、具体的にはいろいろな事情により、それより少ない結果 N/2.56 点だけのスペクトルを得ることができます。例えば、N = 1024、2048の場合はそれぞれ、400 と 800 ラインのスペクトルとなります。

分析周波数ラインを上げたい場合は、N を大きく設定する必要があります。同じように、サンプリング周波数 fs と得られるスペクトルの周波数レンジ fR との関係もこの 2.56 というファクタ比 ( fR  =  fs/2.56 )になります。

これまでの話を整理しますと、サンプリング周波数 fs とサンプリング点数 N と取り込み時間窓長 T の3つのパラメータがありますが、2つを決めると自動的に他の1つも決定されます。
普通の FFT アナライザーでは、周波数レンジとサンプリング点数をユーザが選択することができます。

これらの具体的な数値例は、下記小野測器ホームページ内の FAQ コーナをご参照お願いいたします。

FFT基本 FAQ - データ長・周波数分解能・時間長の関係

(2003年1月24日発行メールマガジンより抜粋)