当計測コラムでは、当社お客様相談室によくお問い合わせいただくご質問をとりあげ、 回答内容をご紹介しています。
モータやギアから発せられる音で、音の大きさが繰り返し変化するような異音があります。 繰り返しの特徴を調べるために包絡線を抽出してFFT 解析を行い、繰り返しの周波数成分の大きさを見ることがよく行われています。
基礎からの周波数分析(28)-「回転機械の設備診断」
今回は、1/3 オクターブ解析を行い、音圧レベルの変動具合から繰り返しの周波数成分抽出を行います。
簡単にするため、繰り返し周波数が分かっている波形に対して、1/3 オクターブ解析から変動成分を抽出する例を示します。
元の波形
2000 Hz が10 Hz で変動している信号
5000 Hz が30 Hz で変動している信号
ランダム信号
3つの信号を加算して、合成波形を作ります。
下の図の合成波形(紫色の波形)からでは繰り返しが有るような、無いような、はっきりとわかりません。
合成波形をFFT解析してパワースペクトルを見てみます。
2000 Hzと5000 Hzにピークが見えてます。2000 Hzと5000 Hzの周波数成分が他の周波数に比べて大きいということは分かりました。
しかし、このピークの大きさが、どれくらい変動しているかまでは、見て取れません。
合成波形を1/3オクターブ解析します。このとき、時定数(時間重み)はNONE(無し)で時間間隔は1 msを選びます。
時定数を掛けると、変動具合が滑らかにされてしまい、消えてしまうので注意します。
2000 Hzと5000 Hzのカラーパターンに繰り返して大きさが変化している状態が見えます。カラーのスケール調整(図では95-60)、を変えながら確認します。
2000 Hzと5000 Hzに色の繰り返しの変化がみてとれます。
2000 Hzと5000 Hzのタイムトレンド(時間変化)を見てみます。
1 s間のトレンドです。
80 dBから95 dBの範囲で変化しているのが分かります
この繰り返しの周波数ために2000 Hz、5000 Hzのトレンド波形をFFT解析してみます。
トレンドデータをCSV形式で保存します。画面内でマウスの右ボタンをクリック。
保存したCSVファイルをデータファイルのインポートで ASCIIファイル指定でインポートします。
1/3オクターブを1 ms間隔で求めているので、サンプリング周波数は1000 Hzです。
インポートすると、データマネージャーにファイルが増えます。
Track5が2000 HzとTrack6が5000 Hzのトレンド波形です。
基本周波数解析を行います。
1 s間のデータでかつサンプル周波数が1000 Hzと低いので、フレーム長を短くしないと、データ不足になるので、注意します。
10 Hzと30 Hzにピークが現れました。
2000 Hz、5000 Hzのトレンドには、繰り返し変動している成分があることが確認できました。
音を聞いたときに、繰り返しで変化しているような気がしたら、1/3オクターブ解析を行って、カラーパターンで変化を探り、トレンド波形をFFT解析することで、周波数が見えてくることもあります。参考にしてください。
(2020年5月20日発行メールマガジンより抜粋)