当計測コラムでは、当社お客様相談室によくお問い合わせいただくご質問をとりあげ、回答内容をご紹介しています。
当社で扱っている加速度検出器には、プリアンプ内蔵型加速度検出器と電荷出力型加速度検出器の 2 種類があります。電荷出力型加速度検出器はプリアンプを内蔵していないため、衝突・落下試験などの衝撃的な振動の測定や、高温域での振動測定に向いています。電荷出力型加速度検出器の電荷信号出力を、FFT アナライザやデータステーション等の解析装置で分析する場合は、チャージアンプやチャージコンバータにより電圧信号に変換して解析装置に入力します。
チャージアンプは電荷出力型加速度検出器の電荷信号出力を電圧信号に変換するアンプです。一般的なチャージアンプは、加速度検出器の感度を設定でき、検出器の感度とは独立に出力感度(レンジ)を設定できます。また、LPF、HPF や、加速度信号の積分機能を備えているものもあります。
チャージアンプと解析装置の設定について
弊社のチャージアンプ CH-1200A では、加速度検出器の感度(引数部・乗数部)と、レン
ジ(出力感度)を設定できます。CH-1200A の [SENS/RNG]キーを押すと、次の 2 つの設定
モードが切り替わります。
- センシティビティ設定モード。モード表示部の pC/EU が点灯します
- レンジ(出力感度)設定モード。モード表示部に mV/EU が点灯します。
センシティビティ設定モードでは、CH-1200A に接続した電荷出力型加速度検出器の感度
( pC/(m/s2) )を設定します。引数部に設定できる値は 1.00~9.99 で、乗数部に設定できる値は、0.01、0.10、1.00、10.0、100 ですので、加速度検出器の感度に合わせて引数部と乗数部に分けて設定します。
レンジ(出力感度)設定モードでは、CH-1200A から出力される信号のレンジ(出力感度)を設定します。CH-1200A の出力を解析装置に入力する場合、解析装置の単位校正(EU)機能には、レンジ(出力感度)に応じた値を設定します。加速度検出器自体の感度は関係しません。
弊社のチャージアンプ CH-1200A で設定できるレンジ(出力感度)等を表 1 に示します。
なお、設定した加速度検出器の感度の乗数部の値により、選択できるレンジ(出力感度)
は制限されます。
CH-1200A の最大出力電圧は ±10 V ですので、レンジ(出力感度)に応じて最大計測加速度が決まります。1.00 mV/(m/s2) レンジの場合は、1 m/s2 で 1 mV が出力されますので、10,000m/s2 で 10 V となり、10,000 m/s2 が最大計測加速度になります。弊社旧製品のCH-1200、CH-1100 は最大出力電圧が ±5 V でしたので、最大計測加速度は表 1 の半分の値になります。
解析装置の単位校正では、単位名や EU 値等を設定します。単位名は m/s2、EU タイプはV/EUとします。レンジ(出力感度)が 1.00 mV/(m/s2) レンジの場合は mV を V に直した 0.00100を EU 値として設定します。
表 1 チャージアンプ CH-1200A のレンジ(出力感度)と、解析装置の単位校正設定
| チャージアンプのレンジ(出力感度) | 解析装置の単位校正設定 | ||||
| レンジの表示 | 出力感度 | 最大計測加速度 | 単位名 | EU 値 | EU タイプ |
| 0.01 | 0.0100 mV/(m/s2) | 1,000,000 m/s2 | m/s2 | 0.0000100 | V/EU |
| 0.03 | 0.0316 mV/(m/s2) | 316,000 m/s2 | m/s2 | 0.0000316 | V/EU |
| 0.10 | 0.100 mV/(m/s2) | 100,000 m/s2 | m/s2 | 0.000100 | V/EU |
| 0.31 | 0.316 mV/(m/s2) | 31,600 m/s2 | m/s2 | 0.000316 | V/EU |
| 1.00 | 1.00 mV/(m/s2) | 10,000 m/s2 | m/s2 | 0.00100 | V/EU |
| 3.16 | 3.16 mV/(m/s2) | 3,160 m/s2 | m/s2 | 0.00316 | V/EU |
| 10.0 | 10.0 mV/(m/s2) | 1,000 m/s2 | m/s2 | 0.0100 | V/EU |
| 31.6 | 31.6 mV/(m/s2) | 316 m/s2 | m/s2 | 0.0316 | V/EU |
| 100 | 100 mV/(m/s2) | 100 m/s2 | m/s2 | 0.100 | V/EU |
| 316 | 316 mV/(m/s2) | 31.6 m/s2 | m/s2 | 0.316 | V/EU |
| 999 | 1000 mV/(m/s2) | 10 m/s2 | m/s2 | 1 | V/EU |
なお、加速度検出器に、チャージアンプのレンジ(出力感度)に応じて決まる最大計測加
速度を超える振動が加わった場合、チャージアンプの OVER ランプが点灯し、チャージア
ンプの出力は飽和します。出力が飽和すると復帰するまで数秒かかります。計測の前や計
測中に OVER ランプが点灯することのないように、チャージアンプのレンジ(出力感度)
を設定してください。
加速度検出器の型式と、チャージアンプの感度設定について
弊社の電荷出力型加速度検出器と、その検出器を使用する際の CH-1200A チャージアンプの設定等を表 2 に示します。表 2 に示す電荷出力型加速度検出器の電荷感度は代表値です。
電荷感度は検出器個体ごとにばらつきがありますので、検出器付属の出荷特性表や試験成績書に記載されている感度値を設定してください。
CH-1200A チャージアンプの入力換算ノイズレベルは 0.05 pC (rms) 以下です。入力換算ノイズレベルを加速度値に換算した値を、表 2 にあわせて示します。
表 2 電荷出力型加速度検出器とチャージアンプ CH-1200A の感度設定
| 電荷出力型加速度検出器 | チャージアンプ | |||||
| 型名 | 特徴 | 電荷感度 (typ.) |
最大使用 加速度 |
感度 (引数部) |
感度 (乗数部) |
入力換算 ノイズ (rms) |
| NP-2106 | 超小型・軽量 | 0.035 pC/(m/s2) | 100,000 m/s2 | 3.50 | 0.01 | 1.43 m/s2 |
| NP-2110 | 小型・軽量 | 0.16 pC/(m/s2) | 10,000 m/s2 | 1.6 | 0.10 | 0.31 m/s2 |
| NP-2710 | 小型・高温 | 0.306 pC/(m/s2) | 22,600 m/s2 | 3.06 | 0.10 | 0.16 m/s2 |
| NP-2910 | 小型・汎用 | 0.3 pC/(m/s2) | 50,000 m/s2 | 3.00 | 0.10 | 0.17 m/s2 |
| NP-2810 | 小型 | 1.2 pC/(m/s2) | 20,000 m/s2 | 1.20 | 1.00 | 0.042 m/s2 |
| NP-2120 | 汎用 | 5 pC/(m/s2) | 8000 m/s2 | 5.00 | 1.00 | 0.010 m/s2 |
| NP-2560 | 軽量 3 軸 | 0.04 pC/(m/s2) | 25,000 m/s2 | 4.00 | 0.01 | 1.25 m/s2 |
まとめ
FFT アナライザやデータステーション等の解析装置に加速度検出器を直接接続する場合は、解析装置の単位校正機能に加速度検出器の感度を直接設定します。
電荷出力型加速度検出器をチャージアンプに接続し、チャージアンプの出力を解析装置に入力する場合、一般的なチャージアンプであればチャージアンプに加速度検出器の感度を
設定します。解析装置側には設定しません。
解析装置の単位校正機能に設定する値は、チャージアンプのレンジ(出力感度)です。チャージ
アンプのレンジ(出力感度)がいくつに設定されているかを確認し、そのレンジでは 1 m/s2 の加速度が検出されたときにチャージアンプが何 V(何 mV)出力する仕様になっているかを調べ、その値に応じて解析装置の単位校正機能を設定します。
測定対象物や測定条件を変更したために、発生する加速度の大きさが変わり、チャージアンプのレンジ(出力感度)を変更した場合は、解析装置側の単位校正の設定も変更する必要があります。
加速度検出器の最大使用加速度や、チャージアンプのレンジ(出力感度)に応じて決まる最
大計測加速度を超える振動の測定はできません。実際に発生する振動の大きさの最大値に合わせて加速度検出器を選定し、チャージアンプのレンジ(出力感度)を設定します。加速度検出器の取り付け・取り外しや計測の準備中にチャージアンプが OVER してしまう場合は、チャージアンプの出力が落ちついてから計測をおこなうか、取り付け・取り外し・準備中に大きな振動が加わらないように工夫してください。
(2019年4月17日発行メールマガジンより抜粋)