当計測コラムでは、当社お客様相談室によくお問い合わせいただくご質問をとりあげ、回
答内容をご紹介しています。
音とは圧力の変動が波動として伝わる現象で、その圧力変動(音圧)の単位はPa (パスカル)
です。サウンドレベルメータ(騒音計)は音の大きさを測定する測定器で、その大きさは音
圧レベル[dB]で表示されます。
サウンドレベルメータ(騒音計)のアナログ出力には交流(AC)出力と、直流(DC)出力があり
ます。AC 出力には、マイクロホンが検出した瞬間の音圧の値が、電圧信号に変換されて出
力されます。AC 出力に出力される電圧の値はマイクロホンが検出した音の音圧値[Pa]
に比例するため、電圧値を音の大きさに換算する際は音圧レベル値[dB]ではなく音圧値
[Pa]で考える必要があります。
1 Pa の音が検出されたときにAC 出力に何V(ボルト)の電圧が出力されるか(出力感度)は、
騒音計のレベルレンジにより決まります。騒音計のAC 出力から出力された電圧信号の電圧
値を音圧[Pa]に換算し、さらにそれを解析して音圧レベルを求める場合は、この出力感度の
値が必要になります。
音圧レベルと実効値
ある音の音圧の実効値をp 、基準となる音圧をp0 としたとき、音圧レベルLp は式1 で与え
られます。p0 は空気中の音の場合20 μPa です。
式 1
音圧レベルの値と音圧実効値の関係を表1 に示します。音圧レベルが10 dB 上がると音圧実
効値は√10 = 3.16 倍大きくなり、20 dB 上がると音圧実効値は10 倍になります。1 Pa の音
の音圧レベルは一般に94 dB と言われていますが正確には93.9794… dB です。小数点以下
1 桁に丸めると94.0 dB になります。
表1 音圧レベルと音圧実効値の関係
| 音圧レベル[dB] | 音圧実効値[Pa] |
| 130.0 dB | 63.2 Pa |
| 120.0 dB | 20.0 Pa |
| 114.0 dB | 10.0 Pa |
| 110.0 dB | 6.32 Pa |
| 100.0 dB | 2.00 Pa |
| 94.0 dB | 1.00 Pa |
| 90.0 dB | 0.632 Pa |
| 80 dB | 0.200 Pa |
| 70 dB | 0.0632 Pa |
| 60 dB | 0.0200 Pa |
| 50 dB | 0.00632 Pa |
| 40 dB | 0.00200 Pa |
音圧レベルと音の時間波形
音圧レベルが110 dB(青)、100 dB(緑)、94 dB(赤)、80 dB(茶)の音の時間軸波形を図1に示します。いずれも周波数1 kHzの正弦波(サイン波)です。
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図1 音圧レベルが異なる時間波形
青: 110 dB、橙: 100 dB、緑: 94 dB、紫: 90 dB
音圧レベル94 dB(緑)の音の実効値は1 Paですので、サイン波の片振幅(0-peak)の大きさはその√2倍で1.414 Paです。
音圧レベル110 dB(青)、100 dB(橙)、90 dB(紫)の音の片振幅はそれぞれ8.944 Pa、2.828 Pa、0.894 Paです。110 dB(青)と100 dB(橙)の音圧レベルの差は10 dBですが音圧波形の振幅の比3.16 倍です。音圧レベルの値が10 %大きくなったので音圧が10 %大きくなるという関係ではないことに注意してください。
騒音計のAC出力の出力電圧(ノーマルレンジ)
当社の高機能騒音計LA-7500/LA-7200で設定できるノーマルレンジは、10-80 dB、20-90 dB、30-100 dB、40-110 dB、50-120 dB、60-130 dBの6段階です。同製品の交流(AC)出力には、レベルレンジの上限値と同じ大きさの音が入力された場合、0.707 V (実効値) の電圧信号が出力されます。騒音計の仕様等には出力電圧が実効値であることを示すために0.707 Vrms と表示されています。
騒音計のレベルレンジが50-120 dBのときの、計測された音の音圧レベルと、AC出力の出力電圧の関係を表2に示します。出力電圧は音圧レベルの値には比例しません。出力電圧は音圧[Pa]の値に比例します。レベルレンジの上限値の120 dB(20.0 Pa)のときに0.707 Vが出力されますので、AC出力の出力感度は0.707 ÷ 20 = 0.03535 V/ Paになります。
レベルレンジの上限値が120 dBのとき0.707 Vなので、0.707÷120 = …という計算ではありませんので注意してください。音圧レベル値[dB]ではなく、音圧値[Pa]に換算してから計算する必要があります。
表2 音圧レベルと音圧実効値の関係(50-120 dBレンジ)
| 音圧レベル[dB] | 音圧実効値[Pa] | 出力電圧の実効値[V] |
| 130.0 dB | 63.2 Pa | 2.238 V |
| 120.0 dB | 20.0 Pa | 0.707 V |
| 114.0 dB | 10.0 Pa | 0.3535 V |
| 110.0 dB | 6.32 Pa | 0.2238 V |
| 100.0 dB | 2.00 Pa | 0.0707 V |
| 90.0 dB | 0.632 Pa | 0.02238 V |
| 80.0 dB | 0.200 Pa | 7.07 mV |
| 70.0 dB | 0.0632 Pa | 2.238 mV |
| 60.0 dB | 0.0200 Pa | 0.707 mV |
| 50.0 dB | 0.00632 Pa | 0.2238 mV |
騒音計を他のレベルレンジに設定したときのAC出力の出力感度の値を表3に示します。
表3 レベルレンジと出力感度の関係
| レベルレンジ | レンジ上限値の音圧実効値[Pa] | AC出力の出力感度[V/ Pa] |
| 60-130 dB | 63.2 Pa | 0.01118 V/ Pa |
| 50-120 dB | 20.0 Pa | 0.03535 V/ Pa |
| 40-110 dB | 6.32 Pa | 0.1118 V/ Pa |
| 30-100 dB | 2.00 Pa | 0.3535 V/ Pa |
| 20-90 dB | 0.632 Pa | 1.118 V/ Pa |
| 10-80 dB | 0.200 Pa | 3.535 V/ Pa |
騒音計のAC出力を解析装置に入力して解析をおこなう場合には、音響校正器や騒音計の基準信号を用いて解析装置を校正します。校正後の解析装置の校正値(V/EU)値はほぼ表3の値に一致するはずです。騒音計のレベルレンジから求めた出力感度と解析装置の校正値が大きくずれている場合は、接続方法や校正手順が正しくないか装置の故障等が原因ですので、原因を確認する必要があります。
騒音計のAC出力の出力電圧(ワイドレンジ)
当社の高機能騒音計LA-7500/LA-7200のワイドレンジは20-130 dBです。同製品の交流(AC)出力には、レベルレンジの上限値と同じ大きさの音が入力された場合、2.238 V (実効値) の電圧信号が出力されます。騒音計の仕様等には出力電圧が実効値であることを示すために2.238 Vrms と表示されています。
20-130 dBレンジでの計測された音の音圧レベルと、AC出力の出力電圧の関係を表4に示します。出力電圧[V]は音圧レベル値[dB]には比例しません。出力電圧は音圧[Pa]の値に比例します。レベルレンジの上限値の130 dB (63.2 Pa)のときに2.238 Vが出力されますので、AC出力の出力感度は0.03535 V/ Paになります。
表4 音圧レベルと音圧実効値の関係(ワイドレンジ)
| 音圧レベル[dB] | 音圧実効値[Pa] | 出力電圧実効値[V] |
| 130.0 dB | 63.2 Pa | 2.238 V |
| 120.0 dB | 20.0 Pa | 0.707 V |
| 114.0 dB | 10.0 Pa | 0.3535 V |
| 110.0 dB | 6.32 Pa | 0.2238 V |
| 100.0 dB | 2.00 Pa | 0.0707 V |
| 90.0 dB | 0.632 Pa | 0.02238 V |
| 80.0 dB | 0.200 Pa | 7.07 mV |
| 70.0 dB | 0.0632 Pa | 2.238 mV |
| 60.0 dB | 0.0200 Pa | 0.707 mV |
| 50.0 dB | 0.00632 Pa | 0.2238 mV |
| 40.0 dB | 0.00200 Pa | 0.0707 mV |
| 30.0 dB | 0.000632 Pa | 0.0223 mV |
| 20.0 dB | 0.000200 Pa | 0.00707 mV |
まとめ
今回は、音圧レベル[dB]と音圧[Pa]の関係や、AC出力に出力される電圧値との関係をご紹介しました。
サウンドレベルメータ(騒音計)の交流(AC)出力に出力される電圧の値は、マイクロホンが検出した音の音圧[Pa]に比例するため、音の大きさを音圧レベル値[dB]ではなく音圧値[Pa]で考える必要があります。また、音圧値と出力電圧の関係(出力感度)は騒音計のレベルレンジに依存します。
騒音計のAC出力の出力電圧に関しましては、高機能騒音計LA-7500/LA-7200のレベルレンジと出力電圧の関係をご紹介しました。当社の他の騒音計では設定できるレベルレンジが異なりますが、考え方は同じです。
(2017年12月19日発行メールマガジンより抜粋)