前回(10月号)の音の測定事例では、「等価騒音レベルの測定」を取り上げましたので、今回は騒音計で測定できる他の測定項目も含めて測定方法をご紹介します。
今回ご紹介する測定項目は、次のものです。
- A特性時間平均サウンドレベル(LAeq:等価騒音レベル)
- A特性音響暴露レベル(LAE:単発騒音暴露レベルまたは騒音暴露レベル)
- 時間重み付きサウンドレベルの最大値(LMX)
- 時間重み付きサウンドレベルの最小値(LMN)
- C特性ピークサウンドレベル(LCpeak)
- 時間率サウンドレベル、時間率騒音レベル(LNまたはLx)
なお、上記には「サウンドレベルの最大値」と、「ピークサウンドレベル」という項目がありますが、この2つは測定方法が異なる別々の測定項目です。この2つの測定項目の違いについても本コラムでご紹介します。
A特性時間平均サウンドレベル(LAeq:等価騒音レベル)
A特性時間平均サウンドレベルは、等価騒音レベルとも呼ばれ、変動する騒音の一定時間(10分間、1時間など)のエネルギー平均をレベル表示した値です
騒音に関する環境基準や作業環境測定(騒音)などでは、この等価騒音レベルを測定するよう定められております。詳細は前々回の計測コラム「等価騒音レベルの測定」をご参照ください。
A特性音響暴露レベル(LAE:単発騒音暴露レベル、騒音暴露レベル)
A特性音響暴露レベルは単発騒音暴露レベルまたは騒音暴露レベルとも呼ばれ、単発的または間欠的に発生する継続時間の短い騒音を測定する量として規定されています。短い継続時間(時刻t1からt2まで)に発生した騒音のエネルギーの総和を求め、それと等しいエネルギーを持つ継続時間1秒の定常音の騒音レベルに換算した値を求めます。
電車の通過音やくい打ち音のように、単発的または間欠的に発生する騒音の評価に使われます。
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図1 単発騒音暴露レベルの意味合い
時間重み付きサウンドレベル(音圧レベル)の最大値(LMX)
ある測定時間(10分間、1時間など)の間のサウンドレベル(音圧レベル)の最大値です。周波数重み付け特性は必要に応じてA特性やZ特性などが使われます。A特性サウンドレベルの最大値は、騒音レベルの最大値とも呼ばれます。
「特定工場において発生する騒音の規制に関する基準」では、騒音の大きさの決定方法の第2項として、「騒音計の指示値が周期的または間欠的に変動し、その指示値の最大値がおおむね一定の場合は、その変動ごとの支持値の最大値の平均値とする」と定められており、騒音レベルの最大値の測定が必要になります。
なお、一般的な分野では「最大値」と「ピーク値」は同じものを示す事が多いのですが、サウンドレベルの測定においては、サウンドレベルの最大値と、ピークサウンドレベルという2つの測定項目があり、別々の測定項目として区別して扱われます。
時間重み付きサウンドレベル(音圧レベル)の最小値(LMN)
ある測定時間(10分間、1時間など)の間のサウンドレベル(音圧レベル)の最小値です。周波数重み付け特性は必要に応じてA特性やZ特性などが使われます。
C特性ピークサウンドレベル(LCpeak)
サウンドレベル(音圧レベル)は瞬時音圧(AC出力波形)からその実効値を求め、レベル化(dB値に換算)したものですが、ピークサウンドレベル値は、測定時間の間の瞬時音圧(AC出力波形)の絶対値の最大値をレベル化(dB値に換算)して求めた値です。
ある測定時間(10分間、1時間など)の間のピークサウンドレベル(Lpeak)とサウンドレベルの最大値(LMX)を測定すると、Lpeak > LMXとなり、定常正弦波信号であれば3 dBの差、通常の衝撃騒音であれば10 dB以上の差になります。
C特性ピークサウンドレベルは、欧州のCEマーキング規制のため測定が求められるほか、機械騒音の放射音圧レベルの測定方法(JIS Z 8737シリーズ)における測定量として規定されています。
時間率サウンドレベル、時間率騒音レベル(LNまたはLx)
時間率騒音レベルは、不規則にかつ大幅に変動する騒音レベルの分布状況の評価量として古くから使われています。
騒音レベルがある値を越えている時間が、測定時間(時刻t1からt2まで)の間のx %にあたるとき、その値をx %時間率騒音レベルといいLNまたはLxで表します。
例えば、測定時間が100秒間で、そのうち90 dBを越えている時間の総和が5秒間(5 %)であれば、L05 = 90 dBとなります。また、85 dBを越えている時間の総和が10秒間(10 %)であれば、L10 = 85 dBとなります。
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図2 変動する騒音と時間率騒音レベル
「特定工場において発生する騒音の規制に関する基準」では、騒音の大きさの決定方法の第3項として、「騒音計の指示値が不規則かつ大幅に変動する場合は、測定値の90パーセントレンジの上端の数値とする」と定められています。測定値の90パーセントレンジとは測定時間のうちの90 %は、騒音レベルが上端値と下端値の間に収まっており、測定時間のうちの5 %は上端値を上回り、もう5 % は下端値を下回っているようなレンジ(上端値と下端値)のことを示しています。90パーセントレンジの上端値は5 %時間率騒音レベルL05、下端値は95 %時間率騒音レベルL95にあたります。
図3に時間率騒音レベルの測定例を示します。各時間率騒音レベルは、L05 ≧ L10 ≧ L50 ≧ L90 ≧ L95の関係にあります。
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図3 時間率騒音レベルの測定例
測定方法
当社サウンドレベルメータ(騒音計)では一部旧機種を除き、時間率平均サウンドレベル、音響暴露レベル、サウンドレベルの最大値・最小値、ピークサウンドレベル、時間率サウンドレベルを同時に測定する事ができます。
ここでは、積分平均サウンドレベルメータLA-1440での各測定項目の測定方法をご紹介します。各測定値は、測定後に表示を切り替えて確認する事ができます。他のサウンドレベルメータ(騒音計)をご使用の場合、スイッチの名称やメニュー構成が異なりますが、測定手順は殆ど同じです。
1.[A/C/Z]キーを押し、周波数重み付け特性を切り替えます。
2.[FAST/SLOW]スイッチを押し、時間重み付け特性を切り替えます。
3.レベルレンジを切り替えます
△/▽(レベル)スイッチを押すたびに、レベルレンジは”20 - 90dB”⇔”30 - 90dB”⇔”40 - 100dB”⇔”50 - 110dB”⇔”60 - 120dB”⇔”70 - 130dB”⇔”40 - 120dB”の順に切り替わります。測定対象の音が設定したレベルレンジで測定可能な範囲を超えると、過負荷(ovl)またはアンダーレンジ(udl)の警告が表示されます。
通常は警告表示の心配の少ないワイドレンジ(“40 - 120dB”)に設定しておくと、殆どの測定に対応する事ができます。
設定されているレベルレンジの値は、画面下部に表示されているバーインジケータの左下・右下に表示されています。
4.MENUのMEASURE画面上で測定時間(000:00:00 ~ 199:59:59)を設定します。
下図は測定時間を10分に設定した例です。
5.[START]スイッチを押すと測定を開始します。
測定中は演算測定中のマーク(▶▶ )が表示されます。設定した測定時間が経過すると、自動的に演算を停止し、マーク( ▶▶)が消えます。
6.測定終了後、[Lp/Leq]スイッチを押すと、スイッチを押すごとに表示項目がLA、LAeq、LAE、LAMX、LAMN、LAPK、LA05、LA10、…の順に切り替わります(表記は周波数重みがA特性の場合)。
特定の測定項目が非表示に設定されている場合、[Lp/Leq]スイッチを押しても測定項目は表示されません。[MENU]スイッチを押し、DISPLAY/LpLeq ON/OFFメニューにて、表示したい測定項目をONに設定してください。
7.[DISP]スイッチを押すと、測定項目のリスト画面に切り替えることができます。
LIST 1画面(L、Leq、LE、LMX、LMN、LPK)やLIST 2画面(L05、L10、L50、L90、L95、…)が非表示に設定されている場合、[DISP]スイッチを押してもリスト画面は表示されません。[MENU]スイッチを押し、DISPLAY/DISP ON/OFFメニューにて、表示する画面をONに設定してください。
まとめ
今回は、音響計測において測定される事が多い測定項目とその測定方法をご紹介しました。騒音計や、騒音の測定方法、環境基準等につきましては、次の資料もご参照ください。
(2012年12月20日発行メールマガジンより抜粋)