前回は、音源から放射される音の基本的な表示量として、音響パワーレベルについて説明しました。今回は、音響パワーレベルと室内の音圧レベルの基本的な関係について述べます。この関係がわかっていれば、ある点の音圧レベルを測定すれば、室内の残響時間と総表面積、音源と受音点の距離から、音響パワーレベルを求めることができます。また、逆に、設計時点で、音響パワーレベルがわかっていれば、ある点の音圧レベルを予測することも可能です。
室内の騒音測定では、問題となるポイントでの音圧測定で評価し、その原因となっている音源の近傍(例えば音源から1mの距離)で測定することで、その影響を把握することがあります。音響パワーレベルが広く用いられる前は、音源の評価も、現場で上記のような測定で得られた数値で行われていました。しかし、騒音レベルや音圧レベルは、音源の置かれている場所の音響的環境や測定点の条件(音源からの距離や方向など)によって変化します。
環境に左右されない音源パワーレベルの測定は、事務機器やIT機器から建設機械まで、規格に基づいた測定が規定されています。それについては、下記を参照してください。
小野測器 - アプリケーション用途例
小野測器 - エンジニアリング・サービス
図1は、閉空間内に音源と受音点がある場合です。工場の機械が稼動しているところで作業者が騒音に曝露されるケースに相当します。
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図1
室内のある点の音圧レベルに寄与するのは、音源から直接伝わる直接音と室の壁・床・天井で反射される反射音の総体である拡散音です。次式(1)は、音源からの距離rの地点の音圧レベルを、音響パワーレベルを用いて表したものです。この式は、直接音と拡散音の両者が発生させる単位体積あたりの音響エネルギであるエネルギ密度という、音響において重要な基本量から導かれますが、そのプロセスはやや複雑ですのでここでは割愛します。
この式は、直接音の後に壁で1回反射した以降は、拡散音として一様に拡散していると仮定して求められます。
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、
.................................................................(1)
Lp:音源から距離rの点の音圧レベルLp
Lw:音源の音響パワーレベル
S:室全表面積
α:平均吸音率
Rは室常数で;
..................................................................(2)
平均吸音率αは、室の残響時間Tを求めることで下記の式で算出されます。
ここで、自由空間では、α = 1となるので、R → ∞(α = 1、完全吸音)となり、(1)式の4 / Rの項が0となるので;
.................................(3)
残響が長くαが小さいとき(等価吸音面積が小さい)、R → A = Sα に近い値を取り、1 / 4πr2 << 4 / R となるので;
.................................(4)
(3)式は無響室、(4)式は残響室や残響の長いホールのような空間で適用される式となります。一般的な室内においては、(1)式を用いて、音響パワーレベルと音圧レベルの関係を見出します。
(2010年3月18日発行メールマガジンより抜粋)