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振動解析 -5「伝達関数よもやま話-1」(振動特性、支持方法)

(1)振動特性

振動測定、解析の仕事に携わっていますと、まずは対象に触ってみたり、たたいたりして手や耳で振動や音の感触を探ります。硬い物でたたいてみて、その音が澄んだ音だと良いデータ測定が期待できます。割れた音や、鈍い音になるとやっかいで、工夫がいります。大体これで測定がうまくいくかどうか予想できます。

1chFFTアナライザーが手元にあれば、とりあえず加速度センサーで振動の周波数とその振幅を測定してみることとなりますが、振動特性がどうかということに注目すると基本的には2ch以上のFFTアナライザーが必要になってきます。

インパルスハンマーと加速度センサー、または加振器と加速度センサーの信号を2chFFTアナライザーに取り込んで加振試験を行い、周波数応答関数(伝達関数)を測定するのは測定対象の振動特性をみようという意味になります。逆に振動特性が分かると加振入力がどれくらいの時は発生する振動がこれくらいになるなどと予測できます。

さて、現場に赴くとまず目に飛び込んでくるのは組み上がり完成された製品です。完成品を加振させて振動特性の解析するのはなかなか難しいです。わかるとしたら製品に精通した経験豊富な人でしょう。完成品は摩擦やガタ等の非線形の要素が強く入り、色々な振動がごった煮の状態になっていて、どの部品のどの振動がどれくらい出ているかは、煮込まれて消えてしまった具材を当てるようなものと似ています。

測定されたデータから目的の振動とその信号源を見つけようとするのですからとても一筋縄ではいかないことは皆様も経験されたことと思います。良いデータというかわかりやすいデータというかこのようなデータをいかに測定するかが工夫のしどころとなります。

基本的な構成要素の振動特性の測定から始め各要素の解析作業の後に完成品の分析にアプローチするほうが、振動の重ね合わせからより本当のところが見えてくるのではないでしょうか。また一連の解析作業ではいかに製品の挙動を振動的な見地、つまり重さ、剛性、減衰の3要素としてとらえ測定していくかにかかってきます。

(2)支持方法

振動測定するにあたり対象の方法を考えて見ましょう。軽い物だと糸で宙吊りする場合が多く、また重いものではしっかり固定することが多いです。完全に自由振動させるか固定するか測定する目的によって色々な配慮をします。宙吊りによる自由振動ではゆれの振動も測定されます。

この周波数が測定対象の周波数(固有モードの1次周波数)の10分の1程度以下になるようにすることで測定の際にモードの周波数の中に紛れ込まなく後の解析で悩まなくて済みます。支持点はできるだけ振動に影響をあたえないよう振動の節の点とします。

重量物でも自由支持にしたい場合タイヤのチューブなどに載せて計測することがあります。重さと空気バネによって共振点ができますが、結構空気バネが柔らかく低周波になるので扱いやすいです。スポンジやその他発泡スチロールになりますと、少し硬さがあり、減衰等振動そのものを邪魔することがあり影響を受けますので注意が必要です。

固定の場合はボルトで固定することが多いのですが、高周波数になるとボルト間の固定されていない部分で振動してしまうことがあります。

これは振動振幅が微小なため目で見ることができませんから見落とされやすく注意が必要です。モード解析でばたばた動く画像になるのはこの影響が考えられます。また固定する力が弱い場合や減衰条件が付加される場合は周波数のピークや減衰特性に影響を受け変わってしまうことがあります。個人的な見方ですが1次共振周波数f1Hzとすると10×f1までは低周波帯域、その上20×f1までは中周波帯域、それ以上は高周波帯域としてみています。低周波帯域ではモード解析や測定については安定して計測できますが高周波帯域では線形性やセンサーの特性や支持方法などの影響を受けやすく安定して計測することが難しくなります。中周波数帯域では支持方法、センサー特性、加振方法に注意して測定すれば良いデータをとることは可能になります。

固定支持、自由支持どちらかやりやすい方を選択しますが、目的は支持方法が測定データに現れないようにすることにあります。対象の持っている周波数帯(測定したい周波数帯)より低い周波数で支持する場合は自由支持を、高い周波数で支持する場合は固定支持を選択します。

測定対象の支持方法が決まると測定の半分は終わった気になります。

(2004年5月20日発行メールマガジンより抜粋)